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はじまり ページ3

その言葉が聞こえていたのか聞こえていなかったのかはわからないけれど



拓「みそに会ってく?」



彼は、私の大好きな笑顔で、そう言った。







久しぶりの彼の家の中はなんにも変わってなかった。





みそが私の姿を見て走って来てくれて


そのまっすぐ向かってくる瞳を見て


変わったのは私だけなのかななんて思ったら、また少し瞳が潤んだ。






カーペットに座って私の膝の上で落ち着いてるみその頭をなでなでしていると


山中さんが私の目の前にしゃがんで両手を私の頬に当てた。





拓「冷たぁ」


「…っ、な、」





顔の近さと彼の温もりに心拍数が上がって心臓がうるさい。



絶対私、今顔赤い……。






拓「Aちゃん」


「はい、?」



山中さんは頬に当てた手はそのままで話し始める。



拓「さっきの、彼氏?」


「え」



何を言われるかと構えていたらそんな事を言われて拍子抜け。






拓「嫌やった、ほんまに。なにAちゃんと仲良さそうに話してん、って」



「いや、あの、」



拓「でも、Aちゃんの彼氏やったらしゃーないって思って」



「え、いや、まって、」



拓「彼氏できたから俺に会わんって思ってたん?」



「いや、だから…!」








拓「俺Aちゃんの事好きなんやけど」







なんとか反論しなきゃと思っていたけど、その言葉に思考回路が停止。





私がフリーズしていると照れた様に手の甲を口に当てて俯いた。





拓「ぁ…、ごめ、ほんまごめん、」



「…な、…」



拓「言うつもりなかったのに…」






言っちゃった…、って声を漏らして照れる姿に胸がぎゅってなって、痛い。






「私、彼氏なんて、いません…」



拓「え、」



「さっきの人は会社の後輩で、同じマンションだったらしくてたまたま会って…」



拓「…」



「私、私が好きなのは…、山中さん…、です…」







絞り出したみたいに、やっと、その一言が言えた。






時計の針が1秒ごとに動く音が無駄に大きく聞こえる程沈黙が続いて


お願いだから何か言ってと思っていると


ふわりと優しい匂いが近付いて私を包んだ。





私の膝で丸くなっていたみそが膝から降りて


私が抱きしめられているんだって気付くと


心臓がキリキリした。








拓「Aちゃん、やっと、つかまえた」








楽しそうに耳元で囁く彼に




私はこれから、溺れていく。

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らむね(プロフ) - Aさん» そんな事言って下さってうれしい限りです(>_<)気まぐれなゆっくり亀更新ですが楽しみにお待ち下さい!! (2018年1月1日 4時) (レス) id: 64f520ad7e (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - ほんとに一番好きな作品できゅんきゅんしっぱなしです(´;ω;`)次の更新も楽しみにしてます(o^^o) (2018年1月1日 3時) (レス) id: da8fd23d44 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みあ | 作成日時:2017年11月8日 16時

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