楽観視モンスター ページ8
見ての通り、熱血漢の突っ走り系男子(笑)である。
「そういや、すれ違った女子生徒が、銀髪のイケメンがどうとか話してたぜ。よく考えりゃ、あれってお前の事だったんだな」
思い出すようにそらを見る勇我。
「言われてみれば、黄色い声がきゃあきゃあ聞こえてたかも。僕はそれどころじゃなかったから、気にしてなかったけど」
「どれどころだったんだ？」
質問の仕方が不思議なところも健在。
よく教師になれたな。
「見た地図を忘れないように」
「あ〜……覚えんのって難しいよな！俺も未だに3階以上の教室はよく分かってないぜ」
本当は、初任の仕事で気が重かっただけなのだが、楽観視モンスターの勇我に「不安」という精神論が通じない事は目に見えていたので、勇我でも共感しやすそうな理由をテキトーに示した。
覚えたものを3歩で忘れる鶏じゃないんだから、そう簡単に忘れるはずないじゃないか。
そんな鶏頭だったら、医師になれなかっただろうし。
でも、体育教師にはなれるみたいだね。
あ、勇我以外の体育教師の皆様、風評被害乙。
「僕、これから理事長室に行くところなんだ」
「お前の父さんだったっけ？」
「そう。よく覚えてたね」
「へへ、まあな！」
馬鹿にしたつもりだったんだが、喜ばれてしまった。
昔からこういう奴だったか。
「あ、俺も職員会議に出なきゃいけないんだった！と言っても、居るだけなんだがな！じゃ、また今度な〜！」
最後の最後まで、ボケ散らかして颯爽と去っていった。
寧ろ清々しい。
まあ、そういう所、僕は好きだよ。
早足な後ろ姿にじゃあね、と手を振って、角を左へ曲がった。
ちょうど4つ目の部屋。ドアの上には理事長室の文字。ここだ。着くまで予想外に時間がかかってしまったな。
遠慮がちにノックをして、
「失礼します」
扉を開いた。
父さんは茶色い革のチェアに座って俯いていた。具合でも悪いのだろうか。
「父さん？」
僕は心配になり、急いで駆け寄った。
「あ、ジゼル。おはよう」
顔を上げ、爽やかに微笑む父。
にゃぁあぁ
机の奥から、やわらかな猫の声も聞こえてきた。
「ふふ、シンシャも挨拶しているよ」
父は再び顔を下げ、膝の上に寝転ぶ黒猫のお腹を優しく撫でた。
なんだ、猫を愛でていたのか。
具合が悪いんじゃなくて良かった。
いや、常識的論点はそこじゃない。
── 何ゆえ学校内に猫がいる？
「ねえ、父さん、学校内にペットというのは？」
「禁止だね」
「シンシャは……？」
「……可愛くて、ね」
おい
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
