告白 ページ45
水を片手に小会議室へ戻ると、もう既に凛月くんがパイプ椅子に座り机に突っ伏して眠っていた。
あれ、もう約束の時間だったか。いや、そんなはずない。先程きちんとスケジュールを確認しただろう。
面談時間がまで、まだ30分もあったはずだ。
「ん……ふぁあ……ふ……」
あ、起きた。
「おはよう、随分早く来たんだね」
「……ジゼルさんに早く会いたかったから」
「はは、そっか。ごめんね、ちょっと野暮用で出ていたものだから」
ここで、千秋くんたちと話をした事を伝えたら夏目くんが言うように浮気と思われてしまうのだろうか。野暮用という便利な言葉で濁しておいた。
僕は彼の座っている席の向かい側に座り、
「折角早く来てくれたことだし、もう始めてしまおうか」
時間は効率的に。出来ることは迅速に済ませた方が良い。そう思って提案したところ、凛月くんは申し訳なさそうに表情を曇らせた。
「あ、そのことなんだけど……実は俺、相談なんてなくて」
「そうなの？」
「ただ、ジゼルさんとの時間っていうか、二人になれる場所が欲しかっただけで……」
そうか、悩みがないなら良かった。ストレスはなにかと心身に良くない影響を与えるから。
「騙したみたいで、ごめんなさい」
「ううん、構わないよ。じゃあ一緒にお話しようか。僕、仕事以外で生徒達とゆっくり話してみたいと思っていたんだ」
「……優しい」
凛月くんは一度意外そうな顔をして、ふにゃりと笑った。
は〜、可愛らしい。白フリルのヘッドドレスが幻覚で見えるようだ。
「俺、優しい人大好きなんだ」
僕を見つめ意味深長に目を細めた。
目は口ほどに物を言う、と昔から言う。しかし何度もいろんな人の目を凝視して実験を繰り返したが、影羽以外の人の心の内は全く伝わってこない。霧中のような。
勿論、凛月くんの瞳に隠された含蓄も僕には伝わっていない。
それでも懸命に読み取ろうと彼の瞳を凝視していると、そんな鈍い僕に痺れを切らしたのか凛月くんは再び口を開いた。
「……ううん、ジゼルさんが……大好き」
凛月くんは意を決したように若干身を乗り出し、静かに、でも確かな熱を含んだ言葉を紡いだ。
まずい。非常にまずい。相手は未成年。
「僕も凛月くんのこと」
「俺は本気で言ってる。ジゼルさんのこと、男性として好きだから」
どうにか友愛でとどめようと発言した決死の防壁も建築途中のままぶち壊された。
「ジゼルさんは俺のこと、受け入れてくれる？」
僕は今、社会的窮地に立たされている。
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
