処置 ページ20
息はしている。
脈もしっかりある。寧ろ速い。
そして体温が著しく高い。
原因は分からないが、急患だ。
早く処置をしなければ。
「二人とも、保健室の場所は分かるかい」
「俺が運ぼう」
冷静さを取り戻した黒髪君が頼もしくそう言って、僕たちは保健室へ向かう。
……っと、その前に。
「君はここで待っていてくれるかな。万が一にも、この毒入りカレーがアイドルの手に触れたら大惨事だからね」
「わ、分かっタ……」
「ありがとう。じゃあ行こうか」
明星君を横抱きにした黒髪君に促して、僕たちは目的の場所へ移動した。
「失礼します」
保健室を開けると、誰もいなかった……と思ったのだが、ベッドの仕切りが一つ閉めきられている。誰かが体調を崩してしまって休んでいるのだろうか。
なるべく保健室の神聖な静寂は乱さないように心掛けよう。
手近にあった綺麗なタオルを水で濡らしながら、倒れてしまった明星君を運んでくれた子に顔だけ向けて、
「ありがとう、助かったよ。君は……」
「氷鷹北斗だ。因みにこいつが明星スバル。そして、テラスに残っているのが逆先夏目だ」
名前が分からなくて困っていた僕を見かねて、三人分教えてくれた。
「北斗君とスバル君に、夏目君……よし、覚えた。ありがとう北斗君」
そう言って僕はスバル君の額に絞ったタオルをのせた。これで体温も下がってくれるだろう。
「北斗君、テラスに戻ってて良いよ。昼休みにも限りがあるからね。スバル君は僕に任せて、ね？」
「だが……ああ、いや、そうしよう。スバルのこと、お願いします」
彼は反論しようとしたが、何を思ってか素直に頷いて会釈し、退出した。
うん、彼もなかなかの美形だね。
シュッとした顔立ち。
編み上げのコルセットに、ロイヤルブルーとブラックのストライプパニエなんてどうだろうか。
氷鷹北斗君。君を忘れることはないよ。
今日何度目か分からない妄想を繰り広げながら、スバル君の傍の丸椅子に腰掛けていると、隣の閉ざされたカーテンの奥から小さな声が聞こえてきた。
「んぅ………」
おお、女装男子好きの心を擽る可愛い声……
布擦れの音と一緒に聞こえたから、きっと寝返りでも打ったのだろう。
ちょっと、ちょこっとだけ。
カーテンの裾を摘まんで5cmだけ開いて中を覗いた。
「……ン゛ンッ？！！」
失礼。取り乱したようだ。
水色のさらさらな髪。長い睫毛。
豊頬に差した淡い桃色。艶やかな唇。
正に天使そのもの。
はっきり言って、最高。
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
