プロローグ〜理不尽な解雇〜 ページ2
夢ノ咲学院から少し離れた場所に位置する、総合病院の外科棟。
僕はそこに勤務する若手の医師だ。
ありがたいことに、若いながら、知識と腕、人当たりも良いと評価して頂いている。
年配の医師から、「お前がいれば今後の外科棟も安心だな」と背中を叩かれる事もしばしば。
入院している患者からの人気が高いのも事実だ。
数多の苦しむ人々をこの手で救う。
幼い時に、病気で亡くなってしまった母と交わした約束。
その漠然としていて終着点の無い目標だけを掲げ、今日も人々の治療に専念していた。
「ええ、それではお大事に」
アイドル科で培った愛嬌を活かして、診察終了の月並みな挨拶をした。
患者も、安心したように帰っていく。
次の患者のカルテに手をかけたところ、神経質で本日も忙しそうな看護師長に、声をかけられた。
「青海先生、院長がお呼びです。直ちに院長室へお越しになって下さい」
それだけを平淡な声で伝えて、僕の返事も聞かずに足早に立ち去ってしまった。
この冷血仕事人間め。婚期逃しても知らないぞ。
それにしても、院長が一介の医師に、いったい何の用があるのだろうか。
僕は何か悪い事したのだろうか。
全く記憶に無いな。
突如怖い先生に放送で呼ばれて不安がる生徒のような気分で、院長室へ伺った。
一応4回のノックをして入室する。
白髪混じりの厳格な院長が、
「ああ、青海君。唐突に呼んですまないね。君に大事な話があるんだ」
普段から悪い目付きが、更に険しくなる。
出来ることなら、その目で僕を見ないでほしい。
「実はね、君が配属している外科棟に、ある異変が起きているんだ」
組んだ手に顎を乗せた院長が言った。
「異変、ですか」
「ああ。それもとびきり厄介なものだ」
ふう、と一息吐き、院長は続ける。
「外科棟に患者が増え続けている。それも女性を中心にだ。何故か分かるかね？」
「……院長は、僕が原因だ、そう仰りたいのですか」
「ふん、分かっているじゃないか。しかし、人気があることに非があるわけではない」
「というと？」
「極めて軽傷、悪くて無傷の人間が君目当てに病院へ来る。そうなると本当に救いを求めている患者にまで手が回らなくなる。……分かるかね」
つまり、僕の人気が災いを成して、無駄な患者を増産している、ということか。
そんなの、僕の知った事じゃない。
「しかし、院長……」
反論しようとしたが、院長によって遮られた。
「君に3ヶ月の長期休暇を言い渡す」
は？
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流離いのsecret(プロフ) - ぎゃぁぁ本当だ……！ご指摘ありがとうございます！ 細かいところまで読んでいただき嬉しいばかりです笑 (今後気を付けます笑) (2019年7月13日 22時) (
レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ごめんなさい。｢混沌｣でした!! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
しか - ｢悩み｣の話の｢敬人｣が｢敬斗｣になってますよ（コソッ面白かったです。これからも頑張ってください！ (2019年7月13日 20時) (レス) id: 3bc0209618 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！(語彙力ない)笑 (2019年6月24日 14時) (レス) id: 451ca50573 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 面白いです(語彙力ない) (2019年6月23日 21時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：流離いのsecret | 作成日時：2019年5月2日 14時
