4-3 ページ12
「瞳に映るはお前の主人。尋ねれば答えよ、命じれば頭を垂れよ」
何？え、怖。
ジャミルの黒い瞳に、怯えた表情の俺が写っていた。
「……
パリン！！
ジャミルが呟くのと同時に、俺の胸ポケットから小気味良いガラスの割れる音がした。
「え、ちょっと待って」
何が割れた。割れるような物は入ってないはずだが。俺はジャミルの肩を押してポケットを確認する。そこには謎の透明なガラスらしき鉱石の欠片が入っていた。
「……効いていない」
「嘘でしょう……そんな……！」
「そういう体質なのか？それじゃあ、Aを洗脳してメロメロにさせる夢は叶わないということか……？」
「はっ？話が違うじゃないですか？！常識を少しずつ塗り替えていって、いつの間にか二人でいるのが当たり前になっていた、というシチュエーションを……」
また口上の戦争が始まったようだ。
まあ、そんなことはどうでもいい。
俺はブレザーを脱いで胸ポケットをひっくり返した。
パラパラと、掌に欠片が落ちてくる。
なんだこれ。
透明かと思いきや、仄かに虹色が差している。
魔法具の類いだろうか。
「『二人でいるのが当たり前』？お前も俺のユニーク魔法だけ上手く利用して、自分の私欲を満たすためだけに協力を仰いだんじゃないか」
「僕の契約よりも貴方の洗脳の方が手っ取り早いからお願いしたまでです。僕は貴方に利があるとは一言も言っていませんので」
あ、待てよ。思い出してきた。
確か、伝書鴉が届けてくれた手紙と一緒に送られて来たような。
「ああ、お前に煽られなかったらもっと時間を費やして慎重に洗脳していく予定だったのに。ここでAに警戒されては計画が台無しだ」
「それこそ悪趣味です。こんなのがクラスメイトだなんて、Aさんが可哀想で仕方ないです」
デスクの一番上の引き出しを探す。確か、もう一個の予備の鉱石が入っていたはずだ。
ああ、あった、これだ。
石の近くにあったメモを手に取る。
精神干渉魔法をかけられた時、貴方の身代わりになってくれる魔法石よ。
手放さず持っていてね。
母さんが綴った文字だった。
なるほど。この石が守ってくれたのか。
ありがとう、魔法石。
石の欠片をゴミ箱に捨て、予備の物をまたポケットに突っ込んでおいた。
「ね、勉強しないの？」
「ああ、何を教えてほしい？猫語か？犬語か？」
「僕がお教えしますよ。Aさん」
口喧嘩はどこへやら。切り替えの早い奴らだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るる(プロフ) - 流離いのsecretさん» 覚えてて下さりありがとうございます！！楽しみにしてますね！更新頑張ってください…！ (2020年11月3日 14時) (
レス) id: 3b86cea146 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - るるさん» るるさん、こんばんは！再度コメントありがとうございます！ まだ書く予定なので、引き続きお楽しみ下さい！ (2020年11月2日 20時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - インキュバスのお話ありがとうございます！！とても癒されました笑 (2020年11月2日 8時) (レス) id: 3b86cea146 (このIDを非表示/違反報告)
流離いのsecret(プロフ) - 夜海さん» 申し訳ありませんが、投票は既に締め切らせていただきました…… ですが、コメントをしていただき、感謝でいっぱいです！3は得票しましたので、その衣装でも書きたいと思っています。今後の作品もお楽しみ下さい！ (2020年10月24日 13時) (レス) id: af1699faf6 (このIDを非表示/違反報告)
夜海 - 3のインキュバスが良いと思います (2020年10月24日 10時) (レス) id: a3c70cbb44 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：流離いのsecret | 作者ホームページ：なし
作成日時：2020年9月5日 17時
