同居人は有名人 6≪ﾆ/ﾐﾔｶｽﾞﾅﾘ≫ 完結 (ページ8)

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先輩side ページ8

『ただの後輩だとずっと思ってた。』

Aが、小さく息をのむ。
昔から変わらない目を俺に向けて。

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先輩回想

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あの日いつもみたいに、ランニングをしていた。

そのまま、公園に入って。

いつもは誰もいない静かな公園。
でも、その日はベンチに縮こまった人影が見えた。

何んとなく、そっと近づいた。

顔はふせていたけれど、この子はもしかして。

『A？』

小さく名前を呼んだら、顔をあげた。

やっぱり、Aだ。

顔をあげたAは泣いていた。
いつも、無邪気に、元気に笑っていたところしか見たことがなかったから驚く。

Aは俺を見てまた泣いた。

このときは、悩みがあるのかくらいに思っていて、
どうせ毎日来るからと、ここに来れば話くらいは聞くと先輩っぽいことを言った。

それから毎日Aは来た。
でも、悩みを打ち明けるわけでもなく。

ただ、ベンチに座って俺を待ってた。

とりとめのない会話を少しだけして終わり。

いつも、公園の時計を気にして、
俺に気を使って、
でも、別れぎわは少しさみしそうに。

どれだけそんな日が続いたんだろう。

だんだんと、Aのことを考えるようになった。

なんであの日あそこにいたんだろう？

なんであの日泣いてたんだろう？

って。

　