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センラside
キッチンで人数分のコーヒーを淹れて持っていく。
「よかったらどうぞ〜」
「わざわざすみません………」
「いやいや、気にしんとって。大丈夫やから」
「てかさあ、Aちゃんって風邪引いてたの?ほら、俺ら後から来たからまだ状況が分かってなくて」
「いや、それはないと思うで。だって熱はなかったし、風邪っぽい症状が見当たらんかったし」
坂田が言うのならそうなのだろう。じゃあ、なんであんなことになったのだろうか?
「加奈ちゃんなんか知っとる?」
「まあ、私は知ってますけど、その、あの症状はなんというか持病っていうのも違うんですけど、ある状況になるとおこるもので………」
「そんなんあるんや」
確かにあんまり聞いたことない。その状況ってなんやろ?もしかして家出中っていうのも関係あるんかな?
「その状況って例えば?」
「……えっと、その…… 『あの…………』
加奈ちゃんが言葉に詰まりかけたところで高く、澄んだ弱々しい声が聞こえてきた。
Aちゃんが起きてきた。顔色は決して良いとは言えないが、さっきよりははるかにましだ。
それでも目の下の隈はくっきりしている。
やっぱり、なんか守りたくなる子だなあなんて考えていると、加奈ちゃんが色々説明してくれていた。人見知りって言ってたし、こっちから話さないと。
「覚えてないん?大丈夫?熱とかない?」
思い切って顔を近付けてみる。すると坂田が茶化しに来た。ありがた迷惑だなと思いながらも、無視する。
「顔を近付けられても熱は上がりません。第一イケメンなどというのはその人の主観です。
定義はっきりしないものは良いとは思いません」
全力でフラれた。端っこで志麻くんが爆笑してるけど無視。
………でもね、センラ地味に顔赤かったの見逃してないから。
「あ、あ、あ、あのっ…、えっと、た、体調も良くなったので、そ、その、か、帰らせていただきます。あ、ありがとうございましたっ。」
さっきの冷静さは何処へやら。噛み噛みでお礼をする。ってか、どこに帰るねん。
「帰るって、どこに?」
「えっ………家です、けど………」
「嘘つき」
「なんで、」
「家出中なんやろ?」
「どうしてそれを………」
青ざめた顔でくるくる回りをみる。
「ごめんねA、私が言ったの。」
「言ったって…どこまで?」
どこまでって、そんなに複雑な話なんやろか?
玄関に向かう彼女の腕を無意識に掴んでいた。
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シロマリ(プロフ) - ハチミツさん» ありがとうございます!ハチミツさんの作品楽しく読ませて頂いているのでとても嬉しいです!頑張ります! (2019年3月25日 23時) (レス) id: 733482b1be (このIDを非表示/違反報告)
ハチミツ(プロフ) - コメント失礼します!とても面白い小説なので、更新楽しみにしています!これからも頑張ってください! (2019年3月25日 22時) (レス) id: 9c73988fd7 (このIDを非表示/違反報告)
シロマリ(プロフ) - 月雨さん» 訂正ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 733482b1be (このIDを非表示/違反報告)
月雨(プロフ) - おこずかい× おこづかい○ですよ!更新頑張ってください! (2019年3月24日 19時) (レス) id: 13ee1e808b (このIDを非表示/違反報告)
シロマリ(プロフ) - まりあ 裏千家さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年3月10日 22時) (レス) id: 733482b1be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シロマリ | 作成日時:2018年12月9日 21時