家出先、見つけました。【センラ】

本 ページ47

センラside

気を取り直して衣類の次は本の荷解きに取り掛かる。

本も「参考書」「ミステリ」など付箋を貼ってジャンルごとに紐で縛ってある。それにしても本当にジャンルが様々で出しながらも背表紙を1冊1冊確認してしまう。

某名探偵の小説から歴史小説、科学関係に哲学書。難しいものばかりかと思えば、ラノベや話題になっていたエッセイ。音楽雑誌に大人気アニメの小説版。

ほんまに全部読んでるんかな？と思ってしまうほど量も多いし、それに伴って情報量も当然ながら多い。

部屋が静まり返っていて嫌だったから、遊び感覚で適当に目に付いた本のタイトルをAちゃんに伝えて「あらすじ教えて？」と聞いてみる。

「ああ、それはその作者の代表作ですね。舞台は古代中国。季節感や洋服の描写をすごく得意としている方です。人が死ぬことの無い、いわゆるライトミステリーと呼ばれるジャンルなのですがかなりスリルがあってすごく好きです。
この方は確か最近感動系の新作を発表していたはずです。まだ読めていないのですが……」

この後約5分続いた本紹介。まさかここまで凄いなんて思ってもいなかったから皆びっくり。加奈ちゃんを除いて。

船「え、全部の本についてこんな感じで紹介出来るん？」

「いや、この本は最近読んだからですよ。」

加「でも、タイトル聞けば作者とあらすじぐらいいつも言えるじゃん。」

浦「全部1回読んだだけで内容頭に入るの？」

「いえ、だいたい1冊につき少なくとも3回は読みます。もちろん面白かったものは何度も何度も読みますよ」

船「そんなにいつ読んでるん？」

「えーと、学校の休み時間とか寝付けない時とか、暇な時間は大抵読んでます。どこに行くにも本は必ず1冊持っていくんです。」

島「すげえ……」

船「そんなにいっぱい本読むんやったら、Aちゃんも小説とか書けるんちゃうん？」

「…いやあ、私にはとても書けないですよ……」

加「こらこらA、嘘つかないの。」

坂「え？嘘って何？」

加「A、実は中学では3年とも夏休みの課題の読書感想文で表彰されてて、今年は国語の授業で書いた短編の小説で県内最優秀賞とってるんですよ。」

船「え……すごいやん。」

「いや、偶然ですよ。というかそう言う加奈ちゃんだって4年連続で夏休みの絵画作品最終審査までいって、賞貰ってるじゃん。」

加「うーん、まあ納得はいってないんだけどね…」


どうやら僕達はかなりすごい2人組に出会ったのかもしれない。

まさか……→←志麻くん……

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