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交通公共機関を使って30分のところにあるスーパーで、今週分の食材と、防犯カメラを買ってみる。
とは言ってもホームセンターもどきのスーパーだから、大した代物ではないんだろうけど。カートに肉と米と野菜と、全部放り込んでいく。
最寄りのスーパーがここだから、なるべくまとめて買わないと。気軽に行ける距離ではないので。
カートを押しながら食料品売り場を見ていると、お菓子売り場にある商品が目に入った。そういえばお菓子も買っておかないと、なんて呑気なことさえ考えながら、棚を見上げていた。
グミ、チョコ、ビスケット、知育菓子、……
「………ビスケット……ビスケット、…」
あ、と声が漏れ出て、サッと顔から血の気が引いていくのがわかった。
今日の記憶が一気に掘り返されていき、朝のまっさらなテーブルがまぶたに浮かぶ。口元を片手で覆い、カートにもたれかかった。
なんで気が付かなかったんだろう。あの朝、テーブルには何も置いていなかった。
…つまり、ビスケットが、あのテーブルから消えていた!
ああ、ばか!私のばか。どうして気が付かなかったのだろう。
思えばその前もトッポッキが消えてた気がするし、やっぱり誰かがあの家に出入りしていたのだ。私が眠っている間に。
くらりとめまいがする。震える体でスーパーを駆け抜けて、私は防犯カメラをもう一つカートに放り込んだ。
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作者名:生姜焼き太 | 作成日時:2024年1月16日 22時