検索窓
今日:9 hit、昨日:9 hit、合計:20,927 hit

3 ページ5

*

霧の立ち込める中、巨大なテーブルに一人で座っている。

霧のせいで周りはほとんど見えなかった。テーブルの奥に、トッポッキとカップ麺がボンヤリと見えるのみ。ふわふわとどこか落ち着かない感覚がする。ただひっそりと、自分の呼吸だけが響いていた。


ぼうっとしてテーブルを見ていると、ふとあることに気がついた。


向かいに、人の手が見えたのだ。



「………あ、」




ガクッと身体が反応して、目が覚める。と同時に、腰に鋭い痛みが走った。何事かと思ったが、そういえば私は椅子に座ったまま眠ってしまったのだ、と思い出す。
時計を見ると、午前11時を回っていた。昨日片付けが終わったのが午後6時くらいだったから、かなり長く眠ってしまったらしい。


「はあ…よく、寝た。」

椅子から立ってぐぐっと伸びをすると、身体中がバキバキ嫌な音を鳴らしながら動き出す。今日もやることは沢山ある。まずは、目の前の伸び伸びのプルダックを食べきらないと。チラリとテーブルを見つめる。



「…あれ。トッポッキは全部食べたんだっけ、…」



物忘れもするようになってしまったか、と軽くショックを受けながら、箸に手を伸ばした。

*

引越して2日目は、ひたすら庭の整備。

草むしり、花壇の花に水、裏の畑の野菜を回収など。とは言っても秋なので、野菜らしい野菜はなかったけれど。おばあちゃんは旬のものに目がなかったから、近くに柿の木なんかがあるかもしれない。冷蔵庫にも、旬の根菜があったし。

考えているうち、食べ物のことばかりだと気がついて苦笑する。

オレンジの小さなハンドシャベル片手に、庭を散歩してみる。今日は秋だけど、青空が広がっていて寒くはなかった。この家にいると、自分が大人で、仕事をしている身ということが嘘のように思えてしまう。好きなもの食べて、生活に必要なことだけしていると、不思議と子供に戻ったような気分になってくる。

近いうち仕事に戻るのよね、なんて思うと急に億劫で、深いため息がついてでた。


「…ヤー、頑張れわたし」

ぺちぺちとほおを叩き、シャベルを握り直す。色々悩む前に、この広い庭を綺麗にしないと。


*

広い庭を掃除し終わると、あたりはあっという間に真っ暗になる。

家に入って、家事と食事を済ませ、入浴、スキンケアをして、今日からは布団で寝るのでベッドに敷き布団を3枚重ねて、毛布と掛け布団も用意したら、あとは寝るだけだ。布団に入って消灯、目を瞑ると、すぐに眠気がやってくる。


心地よさの中、明日の平穏を願いつつ、ゆっくりと意識が沈んでゆく。

4→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
324人がお気に入り
設定タグ:StrayKids , スキズ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:生姜焼き太 | 作成日時:2024年1月16日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。