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「…ナ、イエナ!!!イエナ!…アイエン!!おい!!」
「…、…ん…」
ブレーカーが落とされたみたいな不自然な起床に混乱して、目の前で自分の体を揺らす人影に顔が歪む。
「だ、だれ……」
「わかんないのか?
ソチャンビン、ソ・チャン・ビン、だよ、イエナ。」
心配そうに顔を覗き込んでくるのはチャンビニヒョンだった。
外を見るとすでに鈍色の青空が広がっている。11時ごろだろうか。
随分長く寝ていたようで、しかもソファで寝てたもんだから僕が死んだのかと思って焦ったと、ビニヒョンは疲れた感じで言っていた。
一緒に来たチャニヒョンとハニヒョンは救急箱を取りに行ってくれたみたいで、なんだか大事になってしまっていたらしい。申し訳なさに頭を下げながらも、頭は夢の中のことで占領されていた。
しかし不思議なことに、夢の中で食べたあのトッポッキの味がまだ口の中にくっきりと残っているような気がする。お腹もあんまり空いていなかった。夢のことは、誰にも話さなかった。
頭を掻いて起き上がると、ドアが開いて二人がやってくる。
僕を見て心配そうに身体中触られたけど、寝ていただけだと分かるとほっと息をついて、久しぶりに、昔よくされていたようなウザ絡みをされた。後ろから思いっきり絞められて息苦しい。
「ちょ、ビニヒョン…痛いってえ!」
「イエナ〜〜♡心配したんだぞっ♡♡このアギパンっ!!」
「あー!!」
顔を結構強めにうにうにと捏ねられて不愉快だ。
でも、なぜだか心は温かく、柔らかく少し幸せな気持ちだった。
一瞬昔に戻ったような感覚を覚えたのだ。
不謹慎だけど、ここで寝ていてよかった。あの夢を見てよかった。僕は微かにそんなことを思った。
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作者名:生姜焼き太 | 作成日時:2024年1月16日 22時