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「…っ……う、…っっ」
一瞬、閃光のような衝撃が駆け巡るような感じがして、身体が震えた。
甘辛いソースと、餅の優しい味が身体中にぶわりと広がる。頭がビリビリするほど、ずっとこのままでいたいほど、飲み込んでしまうのが惜しいほど、おいしかった。
とたんに喉の奥が苦しくなって、鼻がツンとして、ぽろりと涙がこぼれた。
「おいし、…い…おいしい…っ」
ごくんと飲み込んだら堰を切ったように手が止まらなくなって、もうひとつ、もうひとつと食べていくうち、トッポッキはあっという間になくなってしまった。
夢の中なら無限に食べさせてくれたって、と思ったけど、食べられただけで十分すぎるくらいだった。信じられないくらいの多幸感に満ちていた。
こんなに幸せな気持ち、いつぶりだろう?ああ、一生目が覚めなければいいのに。
そんなことを考えながら、ふう、と息をついて背もたれに寄りかかる。
テーブル以外は、やはり重く濃い、真っ白な霧に包まれている。先の見えないテーブルが霧に長く続いている。
「…」
もしかして、テーブルの向こうにはもっと沢山の、なんて邪な思いを胸に、その向こうにゆっくりと手を伸ばしたその時。
意識がバチンと音を立てて急浮上した。
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作者名:生姜焼き太 | 作成日時:2024年1月16日 22時