また明日、同じ食卓で (ページ11)

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「…」

ふ、と気がつくと、さっきのソファではない椅子に座っていた。あたりは濃い霧で包まれている。

夢だ、と思いついた。しかし夢の中だと言うのに、未だ空腹のままで気落ちする。
もう身体に染み付いている空腹の感覚は、ちょっとやそっとじゃなくなってくれないのだ。

目の前のテーブルも、金属の白いテーブルではなく、重そうな大きな木製テーブルになっていた。ここは何処なんだろう。
ほとんど虚無に近い空間で、ただすることもなく呼吸を繰り返してそんなことを考えていると、微かに匂いを感じ取った。

テーブルに目を凝らしてよく見ると、向こう側にうっすらと何かがあるのがわかる。
匂いはそこから発されているようだ。甘い匂いにくらりとする。沸き立つようにドキドキと心臓がなった。

乗り出して、それを手繰り寄せる。

「あっ、…！！」

鍋の中に入ったトッポッキが、まだほんの少しだけ湯気をあげていた。

とろりとしたソースが、濃い、甘辛い赤色にツヤツヤと光っている。僕は両手を握りしめた。手のひらに汗が滲んでいた。興奮で身体じゅう火がでるほど熱くなっていた。

食べたいと思ってたものが目の前に現れるなんて！なんて素敵な夢なんだろう？
…夢なら、思いっきりたべたって誰も咎めない、よね。

お腹が苦しそうに声を上げていて、思わずごくりと生唾を飲み込む。
思いっきり鍋ごとガシリとつかんで、3本ほどを箸に刺して口へ運んだ。

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