また明日、同じ食卓で (ページ1)

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午前5時。

地平線が桃色に染まっている。きっとスズメの子だってまだ寝ている頃だろう。
私はカバンを肩に、スーツ姿で家へ帰る。吐く息はうっすら白く、秋の深まりを感じさせる。

ああ家に着いたらご飯を食べる時間もなく、仮眠をとってまた会社にとんぼ返りなんて。ひどい生活だ。まともな食事をここ数週間していない。

早死にしたらどうしてくれるんだ。
全部会社のせいだ。会社と、クソの取引先と、常にインクが補充されてない印刷機と、インド人みたいに眉間にほくろがある鬼上司のせいだ。あと、コーヒー１つに手間取るミニスカートの同僚のせいだ。

片手で鍵を取り出し鍵穴に差し込むが、思ったように刺さらずイライラする。
これだけじゃなく、小さなこと、ほんのちょっとのことでイライラ、ムカムカしている。

爆発寸前の火山、よりはもう少しくたびれた、行き場のない怒りが溜まっていくのだ。毎日毎日。

私、変なんだ。大人になって、ちょっと変になっちゃったみたい。

自分に問いかける。鍵が刺さる。ガチャリと回る。
帰りたい。おばあちゃんの家に帰りたいよ、あの頃に。
子供に戻れたらなあ。大人になんて、なるもんじゃなかった。

ガックシと頭を垂れて、ようやく開いた扉を開いて玄関に足を踏み入れる。

「…あれ。」

なんだか変だとおもったら、私の部屋が空っぽになっていた。