その小学生、呪術師ゆえ

その28 ページ29

「正しい死ってなんだろうな。人を助けるってどうやるんだろうな……俺には、よく分かんねぇよ」

『………私にも分かんない』




何が"正しく"て何が"間違い"か。それは私達には分からないこと。手の届く範囲の人間をがむしゃらに助ける……それにどんな意味があるのだろうか。長年呪術師をやってきた今でも答えは見つからない



『……あんまり、考え過ぎない方がいいよ』



心まで壊れたら、そこで終わりだから。


『少なくとも…七海さんはお兄ちゃんに助けられたって感謝してたよ。これからもそういう人は沢山出てくると思う

お兄ちゃんは頑張ってる。大丈夫』


「……そっか。ナナミンも似たようなこと言ってたな」



100人いて100人を救ける事なんて不可能。どれだけ強くても全員は無理なんだよ。悟だってそうだった……

だからといって見殺しにするんじゃない。犠牲を増やさないこと、誰かの死を無駄にしないこと。そうやって私達に出来ることを積み重ねるだけ



君はもう、立派な呪術師なんだ




・









・


数日後、午前9時。高専の応接間には私と七海君と悟がソファーに腰掛けている。七海君は新聞を読み私は学校の宿題をこなし、そして悟はだらしなく座っている





「七海ィ〜…なんか面白い話してぇ〜」

「……」

「よし分かった！じゃあ廃棄のおにぎりでキャッチボールしながら政教分離について語ろうぜ〜」

「お一人で」

『ねぇ七海君、音読の宿題するから聞いて欲しいな』

「良いですよ」


「この差って何？？？」



日頃の行いだろ、という言葉はぐっと飲み込みランドセルの中から教科書を取り出す。

ちなみにだが、任務中虎杖君が仲良くなった吉野順平という子の家には"両面宿儺"の指が残されていたらしい。それがトリガーとなり母親が死亡。激怒した吉野君が呪霊に唆され自身の高校を襲撃……ってのが一連の流れ。


指は勿論高専が回収し、この事は虎杖君にも伝えてない。そして悟に手渡さず上層部へ提出したそうだ。七海君ホントＧＪ

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