その小学生、呪術師ゆえ

その20 ページ21

「うーん……そっかあ…」

『…どうした？組み手しないの？』

「いや、その………小さな女の子殴るのも気が引けるっつーか…」


『………お兄ちゃんさぁ』



ああ、そうか。だから手を出さなかったのか……きっとこの子にはまだ迷いがある




『中には…私みたいな子どもの形した呪霊だっているかもしれないよ？限りなく人間に近い呪霊に会ったら…そんな時どうするの。なら祓いませんって言うの？

ただ優しいだけじゃ……人は救えない』

「！」



そう、かつて私もそうだった。余計な感情は隙を生むから……情を捨てろという訳ではなく、ある程度の冷酷さも時には必要になる。先輩からの貴重なアドバイスだよ



「………そっか」



私の言葉に、何か決心したようだ




「悪ぃ！改めて稽古お願いしゃっす！」


『……いいよ！仕切り直そう』



どっからでもかかっておいで、と手招きをする。昨日貰った生徒のデータには体術が主な戦法と記載してあった。その実力がどれくらいか……私も最近は低級の相手ばかりで体が鈍ってたところ。久々に良い勝負ができそうである




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