その小学生、呪術師ゆえ

その10 ページ11

「…なんだ、いつもに増して辛気臭いな恵」


「禪院先輩」


『(禪院…？)』




お通夜かよ、と零しながら私達の前に現れた女の子。抱えているのは多分呪具で、不思議なことに彼女から呪力は感じられないのである



「真希、真希！」

「あ？何だよ」

「まじで死んでるんですよ昨日！一年坊が1人！！」

「おかか」



物陰から顔を覗かせるのが2人、口元を覆った青年とパンダ。情報過多で頭が混乱しそうなので、パンダに関しては一旦スルーしよう




「何…あの人達」

「二年の先輩」



呪具の扱いが上手い二年、呪言師の二年、パンダの二年。こっちもまた個性が強い…なんで呪術界はこういう連中が集まるのか……私の周りがおかしいだけ？



「いやーすまんな喪中に。…ところでこの子も一年か？」

「違いますよ。五条先生の遠い親戚だそうです」


「あいつの？…ふーん……」



ふと、興味が私へ向けられる。当たり前のようにここに居座っているが、一応私は部外者である。

禪院真希…って人に顔を覗き込まれ、気まずさのあまり目線を逸らした。この人勘が鋭そうだし、もう少し子どもっぽく振る舞うか




『パンダさんだー！生で見るの初めて！』

「まぁ普通のパンダとは違うけど」

『可愛い〜！！私たれぱ○だ世代！』

「なんでそんな昔のやつ知ってんだお前」




よし、こんなもんだろう。どういう理屈でパンダが生まれたのか知らないけど、夜蛾先生が趣味で作ってそうな見た目よね




・




「……で、お前はなんでここに？」

『悟おじさんに呼ばれたんだけど、おじさん探してもいないんだあ』

「ﾌﾟｯ…おじさんw」


お姉ちゃん達どこにいるか知らない？と首を傾げる。はいもうこれで完ぺき幼女。この場にいる全員へ小学生と印象付けただろう



「そういや見ねぇな。出張じゃねぇの」

『えぇー！おじさんてば無責任！！ルーズな人は友達無くすんだよ！？』

「気をつけろ、五条先生そういうとこあるぞ」



まあアイツが約束事守ったことなんて数えられるくらいしかないからな。稀に打ち合わせした時間より早く来る時もあったが、怖すぎて明日は槍でも降るのかと心配したぐらい



「じゃあここに用は無いんだな。今日はもう帰った方がいいぞ」

『……分かった。A帰る！』

「俺、途中まで送ってきますよ」



そう言って徐に伏黒君が立ち上がった。

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