その6 ページ7
入学して早一週間ほど経った。
寮生活も学校にも慣れ始め、毎日五条と顔を合わせれば口喧嘩。アンタ達飽きないよねぇ、と隣で硝子ちゃんが呟いていた
そんな明くる日、実習のペアが変わった。いつもなら五条なのだが今日はもう一人のクラスメイトと組むらしい
「Aさん、私と組むのは初めてだよね?」
グギャア…!
『そうだね。足引っ張らないように頑張るから放っておいていいよ』
ゲギャア…!!
「そういうつもりで言ったんじゃない。君とあまり関わる機会が無かったから嬉しいんだ。改めて宜しくね」
グギャア…!!
『そっか。こちらこそ』
ちなみにこの悲鳴は決して腹の音ではなく、呪霊の断末魔である。祓いながら会話しているのだ。
第一印象は前髪だったが、話してみると意外と分かる奴かもしれない。初日も私達の喧嘩を止めようとしてくれたし…
『さぁて終わり終わり。帰ろ〜』
「Aさん、気になっていたんだが…どうして君は四級なんだい?この実力なら…準一級いや一級レベルの強さだと思うけど」
『それ、聞きたい?………まぁいいよ』
武器をしまって迎えの車まで歩く。ふと赤みがかった空を見上げながら、あの苦い思い出を話し始めた
・
・
<夏油 side>
『御三家ってのは知ってるよね。私はその一つ、禪院家の養子なんだ。幼い頃に家を出たから…前の姓も覚えてない。だからずっと禪院って名乗ってる』
「……養子」
『聞こえはいいけどね。五条がよく私のことを"捨て駒"って言ってるじゃん?……間違いないよ。私は禪院家の良いように使われる駒で、それ以上の価値は無かった』
知らなかった。あれは単に悟の言い過ぎた悪口だと思っていた。
『だからね、多分階級が上がって私が強くなるのが許せないんじゃない?頭固いからさ〜あの連中。変に立場を持たれるのが嫌なんだろうね』
つまり、禪院家が邪魔をして彼女の階級を上げないよう仕向けていると……これだけの実力がありながら出世できないのか。家系の問題は私などに口は挟めないが、酷く彼女に同情した
じゃあなぜ、それを分かった上で呪術高専に来たのか。遠慮がちに聞いてみる
『…アンタ、さっきから痛いとこつくよね』
「…!すまない。無理に答えて貰わなくても……」
『いや、いいよ。平気だから』
不快にさせるつもりは無かった。けれど、気になって仕方がなかったんだ
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美桜(プロフ) - 更新して欲しいです!!TT (9月15日 0時) (レス) @page1 id: 73811d8464 (このIDを非表示/違反報告)
おろし(プロフ) - はじめまして!!こんなに面白い作品をありがとうございます!あっという間に読み終わってしまいました。欲を言うなら続きがとても気になります、、ご無理のないように応援していますね! (2022年10月19日 6時) (レス) id: 47520b13da (このIDを非表示/違反報告)
みのり - はじめまして、とっても面白いです!シリアス展開…渋谷事変かな?これからも作者さんのペースで更新頑張ってください、応援してます! (2022年2月12日 20時) (レス) @page19 id: fa90cdb483 (このIDを非表示/違反報告)
Siitake(プロフ) - 反応遅れて申し訳ございません。わざわざこんなっ1頁も使って紹介して頂いた上にURLまでありがとうございます。これからも応援します(๑✧ω✧๑) (2022年1月22日 1時) (レス) @page19 id: 01565e1f6d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ&ピーナッツ(プロフ) - Siitakeさん» ありがとうございます!!!是非とも紹介させて頂きます☺️ (2022年1月14日 13時) (レス) id: 131b6cb561 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チョコ&ピーナッツ | 作成日時:2022年1月5日 23時