その14 ページ15
「みんな〜!おはよう!しっかり寝てしっかりご飯を食べましたかー?」
「「「はーい!」」」
「水筒はちゃんと持ってきましたかー?」
「「「はーい!」」」
……………………今すぐ帰りたい。
10月上旬。学校から少し離れた場所まで徒歩で移動し校外学習が始まった。東京観光といえば聞こえはいいだろうが、こんな大人数と歩き回るだけで疲れる。集団行動なんて大っ嫌いだ
「Aちゃんどうしたのー?」
『ううん!なんでもない!』
小学校での友人に声を掛けられハッと我に返る。
どういう訳か、ここ最近呪霊の動きが活発化していない。残暑もすぎて過ごしやすくなってきたからか…この時期は負の感情が発生しづらい。呪術師も少しは羽を伸ばして寛げる……にしても、静か過ぎると思うけどな
何事もなく平和に終えられるならそれでいいが、どうも調子が狂う。体が鈍る前に高専で鍛錬しておこうか。後輩達の様子も見に行こう
………まあその前に、まずは校外学習から無事に帰ってからだ。
・
東京名所。さすがは日本屈指の観光地。とにかく人が多い……どこかに呪霊が紛れ込んでいても不思議ではない。面倒になる前に、観光ついでにちょっとだけ祓ってしまおうと比較的人の少ない路地裏へと入る。
『(居ないな……珍しい)』
こういう場所には大概、低級の一体でも二体でもいるんだけど。何も無いならそれでいい
クラスメイトと合流しようと踵を返した直後、ふいに誰かとぶつかった。相手はがっしりとした体格で、バランスを崩し私の方が尻もちをつく。おっと…とやけに聞き覚えのある声が降ってきた
「すまない。こんな所に子どもがいるなんて。大丈夫かい?」
差し伸べる大きな手。それを掴もうと相手の顔を見た瞬間……これまでに無い程に心臓がうねり、総毛立った。
「ごめんね。私がきちんと前を見ていなくて」
血の気が引いていく。呼吸すらも忘れたように息が詰まった。咄嗟に帽子を目深く被ったのは、せめてもの防衛本能
『……す、ぐ…』
最期にみた姿とは変わっていたが、私には一目で分かった。
どうして。なんでここに傑が。
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美桜(プロフ) - 更新して欲しいです!!TT (9月15日 0時) (レス) @page1 id: 73811d8464 (このIDを非表示/違反報告)
おろし(プロフ) - はじめまして!!こんなに面白い作品をありがとうございます!あっという間に読み終わってしまいました。欲を言うなら続きがとても気になります、、ご無理のないように応援していますね! (2022年10月19日 6時) (レス) id: 47520b13da (このIDを非表示/違反報告)
みのり - はじめまして、とっても面白いです!シリアス展開…渋谷事変かな?これからも作者さんのペースで更新頑張ってください、応援してます! (2022年2月12日 20時) (レス) @page19 id: fa90cdb483 (このIDを非表示/違反報告)
Siitake(プロフ) - 反応遅れて申し訳ございません。わざわざこんなっ1頁も使って紹介して頂いた上にURLまでありがとうございます。これからも応援します(๑✧ω✧๑) (2022年1月22日 1時) (レス) @page19 id: 01565e1f6d (このIDを非表示/違反報告)
チョコ&ピーナッツ(プロフ) - Siitakeさん» ありがとうございます!!!是非とも紹介させて頂きます☺️ (2022年1月14日 13時) (レス) id: 131b6cb561 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チョコ&ピーナッツ | 作成日時:2022年1月5日 23時