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「あー....まじで研修だって嘘ついてよかった」
本当良いタイミングだったな、なんて嬉しさで満ち溢れていると、彼女がピクリと肩を揺らした。
「....嘘、?」
彼女が小さく呟いた言葉に、俺はサッと血の気が引いた。
....今日はそのことについて話がしたかったんだ。
傷付けてしまうかもしれないけど、俺の気持ちを最後までちゃんと聞いてほしい....
決意を固めて口を開こうとした時、俺の携帯電話がけたたましく鳴り始めた。
ディスプレイに映る名前は、彼女の名前。
「っ、」
今日は友達と泊まりがけだって....
俺は怪しまれないように普段どおりを装って電話に出た。
「....もしもし、」
「もしもし翔太?今どこにいるの?」
「だから今日は研修だって、」
「それ嘘でしょ?」
「....は?」
「出張、嘘だってちゃんと裏取ってあるから」
「誰にそんなこと、」
「私、翔太の学校に知り合いの先生がいるからその人に聞いたの。言ってたよ?研修なんてないって」
恐怖を覚えるほどのサーチぶりに俺は言葉を詰まらせた。
「そんなにバラされたいの?すぐに帰ってこないんだったらこっちも行動に出るから」
「....分かったよ。すぐ帰るから」
静かに電話を切ってAを見ると、何か言いたそうな顔で無言を貫いていた。
「ごめん、彼女が帰ってこいって煩いから帰るわ」
彼女は動揺して体を震わせていて。
....まだちゃんと説明出来てないのに、
新しい傷だけ付けて、何やってんだよ俺は....
「翔太くん、」
「....ごめんな」
今すぐ帰らないと、Aが、
「翔太くん、!やだ、待ってよ、」
「....ごめん、」
俺のせいで人生を棒に振ってほしくないんだよ....
俺が戻れば、Aは助かるから、
ごめん、
....本当にごめん、
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cleam(プロフ) - 彩海さん» お返事が遅くなり申し訳ないです....!楽しんでいただけたようで、本当に嬉しいです( ; ; )ありがとうございます( ; ; )現在連載中の作品など、他の作品でも楽しんでいただけたら嬉しく思います! (2021年11月29日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
彩海(プロフ) - 苦しいくらいぎゅんぎゅんさせていただきました……。cleam様の書くお話は全て苦しいです!!(もちろんいい意味です)完結お疲れ様でした、今後もお世話にならせて頂きます、笑 (2021年11月17日 22時) (レス) @page49 id: b8d91d7ead (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - つばささん» わー!よかったです( ; ; )幸せになるシーンが少なかったので、短いながらにお届けしてみました....!楽しんでもらえて嬉しいです( ; ; ) (2021年11月13日 21時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
つばさ(プロフ) - にゃー!甘々すぎて胃もたれしそうです…♡(略:最高です♡笑)更なる幸せそうな二人まで書いて下さって心がホッコリしました♡本当にお疲れ様でした(^^) (2021年11月11日 23時) (レス) id: a84a28701a (このIDを非表示/違反報告)
cleam(プロフ) - センさん» ありがとうございます!続きをと仰っていただけることがとっても有難いです( ; ; )ただもう残りページがほぼないので超短編になりそうですが、なんとなく浮かびそうなのでまた出してみますね^^気長にお待ちいただけたら幸いです! (2021年11月8日 23時) (レス) id: c295088e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:cleam | 作成日時:2021年10月25日 22時