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「お話中、申し訳ないんだけど、慧くんのこと見てないかい?」
社長と話し込んでた俺にかかったのは、いつもの落ち着きをなくしたマスターの声。
「え、慧くんいないんですかっ?」
「ちょっと前にお使いを頼んだきり帰ってこないんだよ」
ふわふわの見た目に反して、意外と真面目な慧くんがバイトをほったらかしていなくなるなんてありえない。
たぶんマスターもそれがわかっていて、俺に声をかけたんだと思う。
なんだかすごく胸がざわめく。嫌な予感がする。
ぐるりと店内を見渡せば、案の定人がいなくなってるあの席。
「あの、マスター、あっちに座ってた代議士さんは?」
「あの方なら、すこし前にお会計を、」
嫌な予感がどんどん現実味を帯びてくる。
「あの方と、慧くんが何か、」
「すいません、マスター、俺帰りますっ」
「な、中島くんっ?!」
机にお金を置いて、鞄を掴み急いで店をでた。
胸のざわめきは大きくなっていて、いてもたってもいられず大声で慧くんの名前を呼ぶ。
「慧くーんっ、居たら返事してーっ」
裏道ばかりのバーの周りを大声だしながら駆け回るも、可愛い天使の姿は見つからない。
「慧くん、どこだーっ、慧くんっ」
慧くんを探し初めて数十分、もしかしここにはいないのかと、裏道をでようとした時にかすかに聞こえたうめき声。
声のする方へ駆け出し、ようやくたどり着いたそこでみたのは目を疑う光景。
「…っ、慧くんっ」
「…なか、じま、さん」
そこでみた慧くんは、薄汚れた地面に座り込み、顔には生臭いどろりとした液体。しかもその白くて綺麗な顔にはいくつもの傷。
俺が慧くんに気を取られていると、がさりと音がして誰かが逃げだそうとする気配。
持ち前の運動神経で、走り去ろうとする相手の腕を掴み捻りあげれば、やはり崩れ落ちたのはあの代議士だった。
「あんた、何やってんだよっ、こんなの犯罪じゃねえかっ」
「は、犯罪だってっ?誘ってきたのは慧くんだっ」
「嘘をつくなっ」
「う、嘘じゃないさ、直接慧くんに聞いてみろっ」
やけに自信のある声に慧くんへ視線をうつせば、それを待っていたかのようにおっさんは俺の手を振り払い逃げていった。
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こさこ(プロフ) - ぴあまいさん» それと、ついったーさんのことは教えていただきありがとうございます(><) 鍵垢様のリプライはみれないのですね…。ちょっといろいろ考えたいと思います!ありがとうございます(_ _) (2017年3月30日 15時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ぴあまいさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけてほんとに嬉しいです!わたくしもぴあまい様のお話いつも楽しませていただいてるので、応援しています! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあまい(プロフ) - そして、リプライを見れないというツイートをお見かけしたのですが鍵垢からのリプライだとフォローしないと読めないんだとおもいます( ; ; )余計なお節介だったらすみません( ; ; )DMお送りすることが出来なくこちらで失礼します。これからも応援してます! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 9bda90e388 (このIDを非表示/違反報告)
ぴあまい(プロフ) - 初めまして、ゆといの厨のため楽しみに読んでおりました!スピンオフも次回作も楽しみにしております!それと、Twitterの方フォローさせていただきました。よろしくお願いします! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 9bda90e388 (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ぺこさん» コメントありがとうございます。わたくし以前にぺこ様のゆといのを拝読させていただいてたので、コメントいただけて感激です。これからも頑張りますっ! (2017年3月30日 15時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こさこ | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2017年3月22日 16時