Dream assorted yt × in (( HBD短編集 )) (ページ47)

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あの日から裕翔は、本当に1日1回だけ俺を口説くようになった。

ある時は熱烈に愛の言葉綴り、ある時はただぎゅっとおれを抱きしめ、ある時は息もできない濃厚な口付けをしてきた。

それが、あまりにもしつこかったらおれも拒むことが出来ただろう。だけど裕翔は、おれが最初に決めた"3分間"というのもきっちり守っていたから。

どうしても裕翔を拒否できず、いつのまにか与えられる溢れんばかりの恋情に染められてたんだ。

1日たった3分間の触れ合いで、裕翔はおれの弱いとこも嫌なとこも好きなとこも全部見つけ出して巧みにおれを誘惑した。

耳元で名前を呼ばれたらお腹がきゅんってなることも、ちょっといじわるなことを言われると心臓が駆け足になることもきっと全部知ってる。

知ってて、でも、あくまで片想いの相手を口説くってスタンスでおれに向かってきてるんだ。

「俺さ、そろそろ潮時かなって思ってるんだよね」

今日も今日とて撮影の合間に連れ出されたセットの片隅。顔の横に両手を付かれて、整った顔が目の前に迫る。

「いのちゃんが素直になんないなら、もうこんなことやめようかなってさ」

これはきっと駆け引きだ。おれに引き止めさせようとしてわざと言ってるに違いない。

そんなのわかってる。

「今日の3分が終わったら、俺、片想いやめる」

おれがなんて言ったって、どーせおれのこと口説いてくるに決まってる。

そう思ってる、だけど、

「ねえ、あと3秒」

突き出された3つの指に、考えるより先に体が動いてた。

「さーん、にー、いーち、っ…！」

"ぜろ"になるその瞬間、むかつくほど愛しくなってた唇を塞いだのはおれ自身の唇。

くっつけるだけじゃ気が済まなくて、思いっきり舌を絡めてやれば100倍返しで返された。