Dream assorted yt × in (( HBD短編集 )) (ページ36)

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「どうぞ」

「おじゃま、します…」

招き入れたのは、店の2階にある自宅。

店を開いてから他人を入れたことはなかったけど、別に躊躇をすることなく彼を部屋にあげていた。

「とりあえず服脱いで、おれのジャージ着てて？サイズ大きめのだすから」

「…ありがとうございます」

「服はこっちね？乾燥機入れといて」

「…はい」

あれこれ指示をだしてもやっぱりいつもの明快さはなくて、ぼんやりとおれの言葉に従うだけ。

でもなんだかそれが可愛いって思っちゃうのは秘密しておこう。

「はいこれ、飲めたら飲んで？」

「すいません」

ゴポゴポとミルクを温めて作った伊野尾家特製のホットミルクを机におけば、大きな身体がきゅっとなった。

「別に謝ることないよ？無理やり家にあげたのはおれだし、」

「む、無理やりだなんてそんな…っ！…嬉しかったです」

「そ？だったいいんだけどさ」

「ほんとですよ？まじで思ってますから！」

「わかってるって」

ああ、真面目な子なんだなって凄く思う。

だからこそ、抱えちゃうこともきっと多いんだろうな。

自由業のおれとは違って、彼はスーパーモデル。あちこち引っ張りだこで、芸能人という仮面を被って生きている。

そりゃ、息も詰まるだろう。飛び出したくもなるだろう。

だから、

「おれもね、今日中島くんがおれのとこに来てくれたのが嬉しいよ」

君の逃げ場になれたことが誇らしいよ。

「話して楽になれるなら、何でも言って？」

支えることしかできないけど、おれは君の味方だから。

「もっと、君を見せて」

覗き込んだ真っ黒な瞳は、ただおれだけを映してした。

迷いながらも開いた口で、君のことを教えてよ。