Dream assorted yt × in (( HBD短編集 )) (ページ31)

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【ステージ】

キラキラ光るペンライトの中で、カラフルな色に染まった君を見つけたよ。

ねえどうしてだろうね？
こんなにたくさんの人の中で、俺は迷わず君を視界にいれてしまう。

歌ってても、踊ってても、気づけば君のことで頭がいっぱいだよ。

「ちょっと、ゆうてぃニヤけてる」

曲と曲のインターバル。衣装替えのために引っ込んだバックヤードでメンバーの知念に衣装の袖を引っ張られる。

「恋人さん、来てんでしょ」

確信をついたその言葉に誤魔化すことが出来ずに曖昧に笑って見せれば、小さな親友は大きくため息をついた。

「別に恋人呼ぶのはいいよ？今日のゆうてぃなんていつもの5割増くらいキラキラしてるし」

でもさ、アイドルしての自覚、もうちょっと持ってよ。

トン、と胸につかれたグーパンに、浮かれてた気持ちがハッと静まった。

そうか、さっきまでの俺は、"みんな"の中島裕翔じゃなくて、"いのちゃん"の中島裕翔になってたのか。

そりゃ、もちろんいのちゃんが特別なのは当たり前のことだけど、やっぱりアイドルをしている今は"誰か"の俺になっちゃいけない。

わかってたはずなのに、全然わかってなかった。

アイドル失格かもな、俺。

「ごめん、ありがとう」

コツンと返した拳に知念は笑った。「らしくないよ」って言って、ステージへの階段を駆け登る。

「僕はね、ちゃんと5割増キラキラのゆうてぃも悪くないとは思ってるよ」

俺よりずっとアイドルな知念の言葉にすこしだけ胸が軽くなった。

アイドルの顔も、恋人の顔も、大事にしてあの人に向き合おうと試に決めた。

俺、わかった気がする。どうしてあの女の子たちのグループは恋愛禁止なのかってこと。

恋する人間は輝ける。でも、輝く相手は全ての人達じゃなくて、ただ一人の特別な人間だ。

だから、アイドルは恋なんてものはしないほうがいいのかもしれない。

でも、俺は今、誰にも譲れない恋をしてるから＿＿＿

「ゆうてぃ早く！次ソロでしょ？」

「今行く！」

彼との恋を守るために、アイドルという名の仮面を被るよ。