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「裕翔って、いい匂いするね」
いつもの放課後、座る椅子がなくて立ち止まった彼の腕を引いたのは10分前のこと。
無事俺の足の間におさまった彼は、彼の腹にまわる俺の腕をつんつんつつく。
「へ、に、匂い?」
「うん、ほらこんなふうにぎゅーってしてるとめっちゃ裕翔の匂い包まれる!」
「そ、そう?」
若干焦ったのはこないだの山の話のせい。
ほら、やっぱり誰でもいい匂いだって思うんじゃん、という気持ちもあれば、いのちゃんにとっても俺ってそーゆう存在?っていう気持ちもある。
…でもまあ前者であるのはわかってるけど。
「なんの柔軟剤使ってんの?」
「じゅうなんざい?」
「だってすげえいい匂いだから、おれも母さんにオススメしたいじゃん」
すぐ目の前のマッシュルームヘアが振り向く。
正直柔軟剤のことなんて知らないし、でもそんなのよりすぐ近くに迫ったつるつるのほっぺたに心臓が跳ねた。
(いのちゃんってこんなに肌綺麗だったんだ)
肌白いのなんてずっと前からしってた。でもこんなに赤ちゃんみたいに綺麗だなんてしらなかった。
それにこんなに密着してて初めてわかったこともある。
いのちゃんは普通に背が高いくせい華奢だから、抱き抱えてしまえばすっぽり俺の腕に収まってしまうこと。あとは頼りないほど首が細いってこと。
あとは、あとは、___
「ねえ、ねえ!裕翔きーてる?」
知らないところを知りたくて、いつの間にかいのちゃんを抱く腕に力が入ってたみたい。腕の中のいのちゃんが「苦しい」って言う。
「あ、ごめん、なんだっけ?」
「だから柔軟剤なにって」
「え、うーん、なんだろう」
「知らないんかい」
俺が上の空の間も柔軟剤のことが気になってたらしいいのちゃんは不満顔。
いやいや、だって男子高校生が自分の家で使ってる柔軟剤知ってたらキモくない?つーか、俺だっていのちゃんの匂い好きだから柔軟剤の知りたいわ!
そう言い返そうと思ったけど、やっぱりやめた。
この不満顔を変えてやる方法を思いついたから。
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作者名:こさこ | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2018年6月13日 21時