Dream assorted yt × in (( HBD短編集 )) (ページ16)

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【滅亡の日】

「ねえ、イノオさん、『明日、地球が滅亡する』って言われたらどうする？」

長い梅雨が終わった土曜日の昼下がり、我が物顔でソファに転がる同居人に問う。

「なんで急にそんなことを？」

「いいから、教えてよ」

本当は、最近話すようになった同僚に聞かれたからイノオさんの回答も気になっただけだけど、とにかく答えを知りたくて急かすように黒く澄んだ瞳を見つめた。

彼の過去を聞いた日から俺は、"生きよう"とする努力を始めた。

希薄な人間関係を改めて、出来るだけ仕事は頑張った。彼と居るために。彼と俺が十分な環境を整えるために。

そんな中、意識改革のお陰で割と仲良くなった同僚に投げかけられた冒頭の問い。

すこし悩んだけど回答は決まってた。だって俺にとって必要な存在はたったひとつだけだから。

俺は、もし明日、地球が滅亡するなら＿＿＿

「地球に残ってユウトと過ごす、かな」

自分自身の回答に思考を巡らせていたら、すこしはにかんだイノオさんはそう言った。

まさにそれは、俺が考えてたものとほとんど同じ。

『大事な人と、"最後の日"を過ごしたい』

同僚に向けて放った言葉を思い出してほんのすこし恥ずかしくなった。

「イノオさん宇宙人だもんね。地球に残ってくれてありがとう」

「なんだよ～せっかく恥ずかしいこと言ったのにその反応！」

照れすぎて本気で怒ってるイノオさん。恥ずかしいからってほんとのこと言えなくてごめんね。でも俺、いま、すげえ幸せだよ。

＿＿＿

土曜日の昼下がり、ひと通りプンスカしたあとイノオさんが言う。

『なあ、ユウトなら、明日地球が滅亡ならどーする？』

答えなんて決まってるけど、

やっぱり恥ずかしいから本音は隠してほのかに輝く彼の額に額を合わせた。

「イノオさんと、キスしたい。かな？」

ちゅっと響いたリップ音と、ピンクに発光するまあるいほっぺた。

そろそろあなたのと新しい一歩を、踏み出してもいいですか？

【地球滅亡の日が来ても、】

to be continued…？

( 6 days to go until birthday ! )