Dream assorted yt × in (( HBD短編集 )) (ページ15)

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【過去】

自分の住んでた星で大罪を犯して、その星を追放された。

大切な人を自らの手で失って、罪を償うために1番危険だと言われていた地球にやってきた。

そしてそこでたまたま俺が巻き込まれたあのバスジャックをたまたま見たんだと、あたたかいシャワーを浴びて毛布にくるまったイノオさんは言った。

「おれはね、脳の電波を読み取ることが出来るんだけどね、バスが崖から落ちるってときバスの中の人たちの脳波を読み取ったんだ」

「…そしたら？」

「普通は皆『死にたくない』って思うのに、ユウトだけは何にも恐怖なんて感じてなかったんだ」

「だから生かした」そうイノオさんは笑う。自分の大切な人は生きたくても生きられなかったのに、生きることにあまりにも執着心がなかった俺に腹がたったんだって。

「ユウトが生き残っても、そっからずっと離れなかったのは罰を与えるためだったんだよ。生きることに意味を持ってないユウトをただただ生かすって罰を」

でもね、いつの間にか、罰とか関係なくユウトと居たくなっちゃったの。

おれの作る料理を食べてくれるユウトが、まだ生きることを強く望んでくれないのが悲しかった。

カタツムリのように丸まった彼は、苦いものを押し出すように声を吐き出す。

その言葉を聞いて、何故か俺の心も痛んだ。

「矛盾してるよね。罪を償うために地球に来たのに、ユウトのことが本当に大切になっちゃうなんて」

おれさ、やっぱり他の星に行こうかな。

自嘲気味に吐かれた言葉。

重くてじっとりとしてて、普段の俺なら絶対関わりたくないような台詞。

だけど、

「矛盾なんかしてないよ」

小さく縮こまった身体を無意識のうちに抱きしめてた。

「"生きる"ってことで罪を償えばいい。"生きる"ことは苦しいし辛いし、無意味だって思うこともある。だから俺と一緒にここに"生きて"償えばいいんだよ」

俺も、"生きたくない"って思った過去を"生きる"ことで償うから。

こんなに感情的になったのは生まれて初めてだから、支離滅裂になっちゃったけどこれは俺の本音。

でも、あなたにここにいて欲しい。

「おれは、ここにいていいの…？」

まるで迷子の子供のような声でイノオさんは言う。

だから、これから俺は、迷子の彼をも導けるように"生きて"いこうと心に決めた。

「大丈夫、大丈夫だよ」

「ほんと…？」

「うん、きっと大丈夫」

雨はまだ止まないけど、もうあの憂鬱な気持ちはどこか遠くに溶けて消えた。