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裕翔に出会ってから一年が過ぎて、おれは裕翔のことをたくさん知った。
実は裕翔は俺より三つも年下で、出会ったときには未成年だったとか。首筋にほくろがあるとか。誕生日は夏だとか。
小さいことからでっかいことまでたくさん知った。
それからおれは、社会人になってて自由に会える時間は減ったけど、週末ごとに裕翔はおれのアパートに泊まりにくるようになった。
決まって金曜日の夜は、家に帰ると『けーいっ!おかえりっ!』て、かわいい出迎えがあるから滅多なことがない限り飲み会なんか行かなかった。
『お前、毎週毎週おれのとこきて大丈夫なの?』
いつのまにかおれの部屋に裕翔の私物が増えた頃、そう聞いてみたことがあった。
すると裕翔は口を尖らせて、『慧は俺が邪魔?』なんて聞くもんだから慌てて首を降ったんだ。
邪魔なわけなかった。もうその時にはおれは裕翔に恋してて、おれの中でなくてはならない存在になってたから。
でもまだその時のおれらの関係には名前がなくて。いつまでも、もどかしい距離感のままだった。
それが一転したのも、金曜日の夜。
お世話になってる上司からの誘いで、どうしても断れず飲み会に参加した日。
帰宅したのは深夜を回ってて、『裕翔帰っちゃったかな』なんて思いながら鍵を回すと、だだだって廊下を走る音。
おれが扉を開ける前に扉が開いて、そこから伸びてきた腕に力強く抱きしめられた。
『慧、どこ行ってたんだよっ!俺、慧に何かあったらって思って…』
『ご、ごめん』
あまりの剣幕に謝ると、腕の力が少し緩んで額に甘やかなキスが落ちて、小さな声が聞こえた。
『………好き』
驚いて裕翔見上げると、泣き笑いの表情の裕翔。
『俺、慧が好きだから。ずっと言うの我慢したけど、好きだから。あなたがいないだけでこんなに不安になる』
返事のかわりにキスを送って、その後はもつれ合うように抱き合い、おれたちは恋人になった。
そして翌朝、裕翔はおれに、裕翔自身にのしかかる重い運命を教えてくれた。
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こさこ(プロフ) - ユーノさん» コメントありがとうございます。ホテルでのいちゃいちゃ、いつか書けたら書きたいです(^^) (2017年4月22日 21時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
ユーノ(プロフ) - こさこさん» そして1番好きなのは2人が海に向かってお互い「大好きだ」を叫んだシーンです。日本じゃいくらやりたくても出来ないこと海外だからこそできて、こんなシーンいいですね。。個人的にホテルで2人が海でいちゃいちゃした続きやらないのかなって思ったりします^^ (2017年4月21日 8時) (レス) id: d3600d992a (このIDを非表示/違反報告)
ユーノ(プロフ) - こさこさん» 今日真剣SUNSHINE読みました。こんな子供ぽい裕翔可愛いですね。どんだけいのちゃんと海に行きたいんだよ!いのちゃんの水着まで用意した上にサンクリームまで用意したとは準備が良すぎ!こんな彼氏を持ついのちゃんが羨ましいくらいです。 (2017年4月21日 8時) (レス) id: d3600d992a (このIDを非表示/違反報告)
こさこ(プロフ) - ユーノさん» コメントありがとうございます。わたくしも実はこのお話がとても気に入ってまして、そう言っていただけてとっても嬉しいです。ふたりだけで、ふたりなら、そういうゆといの、いいですよね(^^) (2017年4月15日 21時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
ユーノ(プロフ) - はじめまして。今シークレットトレイン読み終わったばかりです。すごく心に何かが刺さった気持ちです。2人にりになるために何もかも捨てりる裕翔と慧。。ふたりぼっちになっちゃうけどあなたと一緒なら幸せ。。なんか切ないけど好きです。すごい好きです。 (2017年4月14日 13時) (レス) id: d3600d992a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こさこ | 作者ホームページ:http://ma-no homepage
作成日時:2017年2月28日 17時