ほら、笑おう。【雪男】３

139 失くすなよ？笑 ページ39

side向井


『うわ、カメラ忘れてきてもーた。


ごめんやで、ラウ。このまま先帰って。』





ラ『えぇー、なんなのめめも康二くんも。』





『めめは俺も知らんって！


これ、渡しとくな。

足りひんかったら後でふっかさんに請求しよ。



すみませんお願いします！』





ラウの手に一万円札を握らせてから



俺は一歩後ろに下がる。









ごめんなラウ。




カメラ忘れたって、ちょっと嘘やねん。





俺、戻らなあかんのよしょったのとこ。







タクシーが角を曲がって見えなくなったところで


俺も来た道を歩き始めた。








．



『しょったごめんやで！遅なった！』






翔太くんの体調はほんま変わりやすくて



一分でもだいぶ違う。





やから「さっきは元気やった」とか、



そういうんは通用せん。






渡『ふは、そんな急がんでもええやん。』



『なんやそれ。笑』







まぁ本人はその辺、



分かってんのか分かってへんのか分かってんのか。







．



渡『これってもう撮れてんの？』


渡『うわすげ、へぇ〜。』




『俺はどうしたらええの？』



渡『とりあえずその辺に立てて。』






ﾋﾟｺﾝ



ラウ三脚忘れてる!







『やったわ俺。』


渡『は、なにを？』




『三脚、タクシーに忘れてきた。』


渡『お前なぁ…。』






向井ごめんな!すっかり忘れとったわ笑


向井預かっといてくれへん?




ﾋﾟｺﾝ


ラウ分かった。








渡『じゃあ康二が待っといて。』




『了解！』





．








．







．





三脚、忘れんとちゃんと持って来ればよかったなぁ、





ずっと俺は悔やんでる。









一人でこれを抱えとける自信もない。





翔太くんやってくれたな、ほんまに……。

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