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『ねぇ、ちょっと、待ってよ…!』





うちの手を引いてズンズン歩いていく照史。




どんどん傾いていく道が体力を奪い、その上うちと照史の体格の違いゆえ


うちは照史について行こうと必死で自然と小走りになる。




どこいくの?って聞いても、いいから、と言って暗い中まるで何回も来ているかのように


道無き道といっても過言ではない道を突き進んでいく照史。




なんか分かんないけど、もしかして怒ってる…?





『ね、ねぇ、照史?うちなんか悪いことしたかな…。なら謝るから』


桐山「はぁ〜、着いたで!!」





"うち何したか教えてくれない?"と言おうとしたら急に笑顔でこちらを振り向いた照史。


あれ、怒ってない…。




うちの頭にハテナが浮かんで、照史にさっきの不機嫌の理由を尋ねようとしたその時。





「ヒュ〜〜……ドォォーーン…」


『うわぁぁ〜〜!!きれーーーー…!!』





星が光る綺麗な夜空に、綺麗なオレンジの花が一輪咲いた。




それがこっちを向いてニカッと笑っている照史と絶妙にマッチして、


なぜか泣きそうになる。




どんどん上がる花火をバックにニコニコしている照史を見ていたら


これまでの18年間の思い出が一気に頭の中を駆け巡った。




いろいろあったけど、なんだかんだで幸せな18年だったんだなぁって今更ながらに思う。




これからも照史はずっとうちと一緒にいてくれるって心のどこかで思ってたんやけど


やっぱりそんな訳もなくて。




そりゃそうだよね。そんな幸せな時間が続いたらいつかバチが当たる。


だからいいんだよ、これで。


うちはこの18年間好きな人と一緒に過ごせて幸せだったけど、照史は幸せだったわけじゃない。


だから照史はこれから好きな人と幸せな時間を過ごす。うちがそうだったように。


うん、いいんだ、照史が幸せでいてくれればそれで。それだけでうち幸せだもん。




……なんてポジティブに考えられるほどうちは強くなかった。





『う、うぅ…っ、』


桐山「え、ちょお、なに?!あっ、もしかして花火苦手やった…?」





でも昔よぉ一緒に見たしなぁ…って呟く照史。


そんな些細なことを覚えてくれてるってだけでまた溢れ出す涙。





『っ、ごめん、迷惑、っ、だよね…』





溢れる涙を一生懸命拭っていると目の前が真っ暗になり、たくましい手がうちの頭に置かれた。









…神様、今日だけ。今だけでいいから照史をうちにください。







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設定タグ:ジャニーズWEST , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2020年11月23日 12時

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