きまぐれくろーばー (ページ48)

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黒崎side

「…ん、さ、ん！……きさん、くろさきさん！」

「ん…」

遠くの方から声がする…。

そんなことを思っていると
声が段々ハッキリ聞こえてきて、
数秒してやっと声の主が木野ちゃんだと気づく。

木野「よかった…着きましたよ！」

「あぁありがと、ごめんな急に」

木野「いえ、それは全然いいんですけど…
ほんとに大丈夫ですか？」

心配そうな目で俺の顔を覗き込む木野ちゃん。

心配してくれてるとこ申し訳ないけど、
俺らのことを楽しみに待ってくれてる人がいる手前
休むわけにはいかない。

「大丈夫やって！今日俺そんなに変か？」

木野「いや、変というか、
少しぼーっとしてらっしゃるので…」

木野ちゃん、図星です。

「そんなことないで？俺いつもこんな感じやん」

木野「そうですかね…
でも、ほんと気をつけてくださいよ？」

「ん、ありがとな」

首を傾げながらもながらも
トランクから荷物を出して渡してくれる木野ちゃんには
申し訳ないけどその言葉に応えられる自信無いわ。

「あー…しんど」

今すぐにでもソファに倒れ込みたくて
いつもより早足で楽屋に向かうと、
今1番会いたくない奴らが
廊下の向こうから声をかけてきた。

リリー「あっくろさんおはざっす！
…ちょ、なんで逃げるんすか！」

盛山「くろさん！！
え、YouTube？企画？見取り図を撒け？」

そんなつまらん企画やるか。
俺らのYouTubeにお前ら呼んだら登録者数半減や。

そんなことを思いながら
思った通り追いかけてくる見取り図から
ガンダで逃げて楽屋に飛び込み鍵を閉める。

そしてガンガン痛む頭を抱えながら
ソファにうつ伏せに倒れ込むと、
頭の上から聞き慣れた声が聞こえた。

「どしたん…？」

あ、お前いたんか。

そっと上を向くと、
黒縁メガネをかけて顎マスクをして
誰かから奪ったのであろう抹茶ラテを持った俺の相方が
驚いたような不思議そうな顔で俺を見下ろしていた。

「…なんや、」

三葉「なんやはうちのセリフやわ。

今日遅いし
いきなり入ってきて鍵閉めてソファ直行やし、」

盛山「ちょっとくろさん！
逃げた理由だけ教えてくださいよー！」

リリー「今ならワンコインでYouTube出ますけどー」

三葉「見取り図に追われてるし。
…あんた何したん？」

「俺があっちに何かされたとは思わへんねんな」

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