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中間side
「で、目覚めたら照史が泣きながら俺の顔覗き込んでた」
ぐっちゃぐちゃやったで、顔。
そう神ちゃんは笑ってるけど、
少なくとも俺には笑ってるようには見えへんかった。
父親の不倫によって母親は人が変わり、
たった1人の家族にすら手を出すようになった。
母親の義務を全て幼い子供に押し付け、
失敗すれば殴り蹴り飛ばしご飯もやらない。
少し間違えただけで押し入れに閉じ込めて
残酷なトラウマを植え付けた。
それだけでも人間の所業ではないのに
子供をろくに食べるものもない部屋に1人置いて、
自分のことしか考えずに愛人の元へ去っていった。
そして何の罪悪感も抱かず1人の尊い命を奪う直前まで放っておいた。
その日はひどく冷え込む日で、
家の中にいても何か羽織らなければ寒気がする日やった。
たまたま照史の知り合いが神ちゃんのいたアパートに住んでいて
母親が帰ってこないことに不信感を抱いて照史に連絡してきたのだ。
「3日も母親が帰ってこない。
夜になっても電気もつかず、
なによりたった1人でいるはずの子供の泣き声すら聞こえない」
と連絡を受けた照史が教えられた住所に飛んでいき、
数十分後、体が冷え切り痩せ細り息も絶え絶えの子供を抱えて
「淳太くん、助けて！」と泣きながら帰ってきた時は
顔から血の気が引いた。
結局俺だけではどうにもならず、
急いで知り合いの病院の救急外来に連れて行くと
栄養失調と軽い凍傷で即入院ということだった。
その病院の先生は俺の仕事を理解してくれてる人やから
何も言わずに今の神ちゃんの状態を説明してくれた。
ただ、その柔和な顔にはどこか怒りを感じた。
照史によると電気もガスも通っておらず、冷蔵庫の中には腐った食品、
真っ暗で凍えるほど寒い部屋の中に、
薄いブランケットをかけた小さな体が丸まって倒れていたそう。
体内には栄養分はほとんど無かったが、脱水の症状は見られなかった。
唯一通っていた水道の水で命を繋いでいたのだろう。
その話を聞いて俺は今まで感じたことのない程の怒りが湧いた。
彼がここまで家事に慣れているのは
小さな頃に否が応でもやらされていたから。
ここまで部屋に入るのを嫌うのは
恐怖が彼を縛り付けているから。
ここまで面倒見がいいのは
自分のように見放される思いをしてほしくないから。
この子は自分を犠牲にすることに慣れてしまった
ボロボロの天使、なんだと思う。
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あんず(プロフ) - 七桃さん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます😭🤍ただの私の好みを書いているのですが、それを好きだと言ってくださるなんて本当にありがたい限りです🥹これからも楽しんで読んでいただけると嬉しいです✨ (2023年1月5日 17時) (
レス) id: 9cb17a261c (このIDを非表示/違反報告)
七桃(プロフ) - こんなに素敵なお話があるとは知りませんでした、私。描写とか、語彙とか、本当に感動します……特に神ちゃん推しなので、続き楽しみにしております！ (2022年12月31日 12時) (レス) @page14 id: 224ce8b2d8 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - rainbowさん» 見つけてくださって、しかも読んでくださってご感想までくださるなんて本当にありがたいです😭😭ありがとうございます！！これからもなかなか重めのお話が続きますが楽しんでいただけると嬉しいです😊 (2021年12月27日 21時) (レス) id: d92dbb00df (このIDを非表示/違反報告)
rainbow(プロフ) - 今日見つけて、読んでみたのですがすごく楽しく読ませていただいています✨続きが楽しみです！応援してます🌈✨ (2021年12月27日 20時) (レス) @page2 id: 92cfee10c1 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - みきさん» あぁぁぁありがとうございます！！本当に励みになります……😭😭これからも楽しんでいただけるように頑張ります！😤💪🔥 (2021年12月21日 21時) (レス) id: d92dbb00df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんず | 作成日時：2021年12月21日 15時
