同居人は有名人ｼﾙﾊﾞｰﾘﾝｸﾞと訪問者後【完結】 (ページ10)

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５９．送り道ページ10

揺れる車内。

あれから、何も聞けない雰囲気のまま和の車に乗った。

隣をちらっと見ると窓の外をじっと見ているお姉さん、
前を見ると、不機嫌そうに運転する和。

“送る”って言ったんだから、きっとお姉さんのうちに向かってるんだろうけど…。
このままお姉さんを送っていいのかな？

帰りたくないから和のとこに来たんだよね？

旦那さん…帰ってないって…それも関係あるのかな？

　

…和も、運転なんかして大丈夫なのかな？
だって、さっき倒れたばっかで。
「大丈夫」なんて軽く言って。
結局なんで倒れたのかもまだ聞けてないし。

なんてひとりで悶々と考えていたら。

　

姉『和也、コンビニよって。』

ニ『は？』

姉『家帰っても何にもないから。ご飯まだなのよね。Aちゃんもおなか減ったでしょ？』

『え？』

そう言われてみれば何にも食べてないし、和の顔見てちょっと安心したらお腹すいたかも。

ニ『なんも食べてないの？』

和がバックミラー越しに私を見ていった。

『うん…。』

そう答えたら、和が小さくため息を吐いたのが聞こえた。

…なんか…怒ってんのかな？
ちょっと怖いんですけど。そのため息…

ニ『もうちょっとしたら駐車場あるコンビニだからちょっと我慢して。』

そう言って和がアクセルを少し強く踏んだ。