Fate/いくつもの花

品定め―１ ページ22

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 １時間くらいの言い争いの末に、デパートに来たあたしら。あたしは物色するために、浴衣の並んでる店の中を歩いてる。

「A、そこは女性ものだよ」

「わかってる。あんたが着ても問題ないの探してるから。せっかく綺麗な容姿してるんだから女物の方がきっと似合う」

「そうかな。――わかったよ。Aがそういうなら、僕は従うよ」

 従うという言葉を耳にして、あたしは黙る。エルキドゥらしいけど、従うということをエルキドゥに言ってほしくはないからだ。エルキドゥには自由であってほしい。

「……ああ、ごめんね。君は僕が従うというのを好んでいなかったね」

 そう話すエルキドゥに、あたしは見つけたものを持ってエルキドゥに差し出す。エルキドゥは渡したものを見ながら受け取って、あたしの事を見た。

「そこに鏡があるから見――」

『A、我(オレ)の元に来い』

 手で方向を示して口にしてるところで、念話が脳内に広がる。

「あいつがなんか呼んでる」

「ギルかい？」

「そう」

 エルキドゥに返事をしてる間にも我を待たせるな、という念話が来た。

 あたしは煩いので仕方なく、あいつのいる場所を、あいつの魔力を探る。

「なんの用」

 と、見つけた気配を辿ってあたしとエルキドゥはやって来た。

 あいつはあたしが来ると、品定めするが如く上から下まで視線を動かしてあたしを見る。

「まさかとは思うけど、あたしの選んでるとかじゃないよね」

「我(オレ)手ずから品定めをしてやっているのだ。至高(しこう)の栄誉(えいよ)に他ならん」

 あたしの言葉に、興味(きょうみ)も無い上、堂々と店中で恥(は)ずかしくて聞く気にもならないことを言ってのけるそいつ。周りの浴衣を手で探ってる。


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