Fate/いくつもの花

その身の証明―１※ ページ11

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「ギル――！」

 空間(くうかん)に、声が流(なが)れる――

 キンッ――――！

 辺(あた)りに王(おう)の宝物(ほうもつ)が幾(いく)つも転(ころ)がっている。それはたった今(いま)、王が放(はな)ったもの。全(すべ)て地面(じめん)に突(つ)き立(た)ち、そして転(ころ)がっていた。

「ギル――。それはしてはいけないことだよ」

 綺麗(きれい)な姿(すがた)を模(も)したそのヒトは、自(みずか)らの友を制(せい)する。

「エルキドゥ、おまえは黙(だま)っていろ」

 キツい眼差(まなざ)しを目の前の娘(むすめ)に向(む)け、ウルクの王はそう漏(も)らした。

「何故(なぜ)避(よ)けた」

 変(か)わらない眼差(まなざ)しのまま王は問(と)う。娘はただ、鋭(するど)めの眼差しで見つめ返(かえ)している。

 その内心(ないしん)は放(はな)たれた言葉(ことば)に顔(かお)を顰(しか)めていた。表情(ひょうじょう)を変(か)えない彼女(かのじょ)は、それを表(おもて)に出しはしない。それでも、その視線(しせん)はキツさを帯(お)びている。

「一思(ひとおも)いに死(し)ね」

 放(はな)たれたのは、冷(ひ)ややかな一言(ひとこと)。

「貴様(きさま)に選択肢(せんたくし)はない。皆(みな)まで言(い)わねば解(わか)らぬか。従(したが)わぬならば、言うまでもない」

 (ッ――)

 彼女は内心(ないしん)で舌打(したう)ちをする思いだった。

「ギル。それはダメだよ。それはしてはいけないことだ」

「エルキドゥ。我(オレ)にとって生命(せいめい)とは何か、言うまでもなかろう。こやつはここで処断(しょだん)する」

「彼女が何(なに)をしたというんだい？」

 エルキドゥと呼(よ)ばれる彼女(彼)がそう言うのも構(かま)うことなく、娘(むすめ)に刃(やいば)を向けて、新(あら)たに宝物(ほうもつ)が空中(くうちゅう)で展開(てんかい)された。


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