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【お話したいことがあります。明日放課後、教室で待ってます。来るまで待ってます。ちなみに明日の給食のデザートはプリンだよ】
昨日震える手で頑張って作り送ったメールに、やっぱり佐野くんからの返信はない。
来るとしたら給食の時間だと踏んでいた私だけど…
「あ、昼休みもう終わっちゃうね」
「うん」
「来なかったね佐野くん」
「…うん」
お昼休みが終わっても結局彼は学校に来なかった。
けれど最後の授業の時間。突然豪快に開かれた教室の入り口に目を向ければそこには佐野くんと龍宮寺くんの姿があった。4日ぶりに見る大好きな彼の姿に思わず涙が出そうになる。
佐野くんは私の方を見向きもせずにまっすぐ自分の席に向かうとすぐに突っ伏してしまった。
「Aさん、そんな泣きそうな顔すんなよ。マイキーは大丈夫だって」
「…だけど、」
「オレが連れてきたわけじゃねぇ。マイキーが自分で行くって言ったんだ。Aさんと話すって」
「!それ、本当?」
「嘘ついてもしょうがねぇだろ」
龍宮寺くんのその言葉で一気に気持ちが晴れていく。佐野くんは私のメールをちゃんと読んで、ちゃんと来てくれた。もうダメだと思っていたから余計に嬉しくなり、私は浮かれた気持ちで放課後が来るのを待った。
「あ、Aその辺の使わない道具とって。まとめて返してくるから」
最後の授業が終わる頃だった。学校行事で使うようの模造紙を作成していて、授業終了に向けて各々片付けを始め出した時、クラスの男の子が指差す先を見れば皆が使っていたペンやハサミなどが散らばっていた。
「え?お願いしてもいいの?」
「もちろん」
面倒事を引き受けてくれているクラスメイトに「ありがとう」と伝え散らばった道具たちを集めていく。それは佐野くんが寝ている席の近くにもあって、ドキドキしながら手を伸ばして取り立ち上がった。するとその立ち上がったタイミングでパシッと手を掴まれる。咄嗟に顔を上げれば机に突っ伏した状態で顔だけ上げていた佐野くんがそこにはいて、視線がしっかりと重なった。
「っ!」
久々にあの妙に色っぽい目に見つめられ動揺した私は思わずせっかく集めて握っていた道具たちを床に落とした。
「あ!A何やってんだよ〜」
「わっ、ご、ごめんっ!」
慌てた私は急いで片付けようと佐野くんの腕を振り払い再び道具たちを取りに行く。けれど
「わっ、」
「!あぶねっ」
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作者名:柴咲華 | 作成日時:2021年8月10日 23時