おはなしおもちゃ箱【リクエスト短編集】

Box６ 賑やかな毎日【国見 英】 ページ13

『おーい!!英ー!!』

今日もAの声がする。
玄関を開ければ、家の前にはいつもと変わらずAの姿が。
その隣になぜか金田一もいる。

「おい、国見。今失礼なこと考えただろ」

「Aおはよう」

朝から勘の鋭い金田一は置いておいて、まずAに声を掛ける。

『おはよ、英』

彼女は今日も鈴が鳴るような可愛らしい声で挨拶を返す。

「やっぱり今日も俺はいない者扱いか」

「金田一!!国見ちゃんはダメでも及川さんがいるよ!!」

肩を落とす金田一に、いつの間にか来ていた及川さんが声を掛ける。
今日も元気な及川さんのもとへ及川さんの保護者 岩泉さんが来た。

「おい、クソ川!!朝から大きな声で騒ぐな!!」

岩泉さんからの足蹴りが及川さんに見事にヒットする。

「いった!!!!岩ちゃん酷い!!てか、岩ちゃんも十分声大きいよ?!」

そんな、朝から可哀想な及川さんにAが一言。

『及川先輩、うるさいです』

「Aちゃんまで?!皆、及川さんに冷たくない?!」

「いつものことですよ」

俺がとどめをさせば、及川さんは崩れ落ちた。
それを見て、Aが楽しそうに笑う。
俺は、そんな彼女の横顔をじっと眺めた。
上品に口元を抑えて笑う彼女に、俺は心奪われる。
俺の視線に気付いたAが、こちらを向いてまた微笑む。

塀の上で座っていた猫が地面に飛び降りた。


「すみません。俺ら先に学校行きます」

俺はそう言うなり、Aの腕を掴んで歩き出す。

『英…??』

Aが不思議そうに俺の名前を呼ぶが、俺は何も言わずに手を引いた。


曲がり角を曲がって、及川さん達から見えない位置に来ると、俺は立ち止まり、Aの方を振り返るや否や、彼女を腕の中に閉じ込めた。

「A、可愛すぎ」

俺がそう呟くと、腕の中で彼女は頬を赤く染めた。



「岩ちゃん、国見ちゃんとAちゃんが朝からイチャついてるよ」

「うるさいクソ川」

「及川さん、バレますよ」

俺は3人が影から俺たちを覗いているのに気づいていたけれど、構わず見せつけるかのようにAと唇を重ねた。



この賑やかで幸せな毎日が、俺は好きだ。





〜完〜



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塩きち様より国見ちゃんリクエスト。
ありがとうございます。
日付変わってしまいましたが、3月25日は国見ちゃんの誕生日だったので書いてみました。
国見ちゃん初書きでした。
リクエスト受け付けてるので良かったらコメントよろしくお願いします。

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