Short Sleeper (ページ46)

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これが恋ってやつですか？〈木全翔也〉ページ46

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～木全side～

今日も乗ってるかな、なんて淡い期待を寄せていつもと同じ車両に乗る。

…あ、いた。

毎日見かける、隣の高校の制服を着た女の子。

今日はポールに寄りかかりながら本を読んでいる。

今日も、綺麗だ。

すごく絵になる。

最初はいつも乗ってるなーくらいにしか思わなかったんだけど、いつの間にか今日も会えるかな？という期待に変わっていた。

でも、名前は知らない。

人見知りな僕からすると、知らない人に声を掛けるなんて難易度が高すぎる。

ましてや女の子だし。無理無理無理無理。

気付くともう降りる駅になっていて、何も出来なかった…と肩を落として電車を降りた。

今日も代わり映えの無い一日が始まるんだなあ。

『あの…！』

とんとん、と肩を叩かれて振り向くと、例の彼女がいた。

驚きすぎて、変な声を出しながら尻もちをついてしまう。

過ぎ行く人がみんな僕を見て笑ってるような気がするけど、それどころじゃない。

頭がパニック。どどどどうなってんの？

思うように言葉が出てこない。

『急に話しかけちゃってごめんなさい…！でも、落とし物してたから…これ大切なものかと思って。』

彼女が手に持っていたのは、僕のパスケースだった。

「ああああご、ごめんなさい…」

『いえいえ、あの…』

「あっすいません僕木全翔也っていいます！毎日、あの、同じの…乗ってますよね…」

『わたしはAといいます。いつかお話出来たらなって思っていたので、うれしいです』

僕を見て微笑む彼女から、目が離せなくなった。

これが恋ってやつですか？

『良かったら、これからも仲良くしてください』

「えっあっもちろんです…！」

『じゃあ私はそろそろ行きますね』

「あっあああの」

『はい？』

「…………また、明日」

『ふふ、はい、また明日』

連絡先を聞けるようになるのはまだ先みたいです。

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