続 ページ39
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「先輩酔いすぎですよ」
「いたたたた！ちょ拓実、やめろって」
私の肩に置かれた手は、拓実の手によって退かれた。
「ほら行くで」
『ちょ、』
「あ！拓実！さてはお前Aちゃんと二人っきりになるためだな！？許さねーぞ！」
私の手を引いた拓実に向かって大きな声でそう言う、拓実の先輩らしき人。
全員の注目がこちらに集まる。
「すいません、こいつ俺のなんで」
片側の口角を上げてニッと笑う拓実から、目が離せなくなった。
俺の、って。そんなこと言われたら期待しちゃうんだけど…
ヒューヒュー言ってる声を背に、お店から出た。
外に出た瞬間、拓実の手が離れる。拓実の温もりが消えて、なんだか寂しくなってしまう。
「……久しぶり、」
『うん、久しぶり』
ぎこちない二人。ありがたいことに終電には余裕で間に合いそうなので、二人でゆっくりと夜道を歩く。
「なんで合コンなんか来てたん？」
『無理矢理だよ、友達に連れられて』
「そうなんや、俺も一緒」
声も仕草も変わってなくて安心する。
拓実が隣にいてくれることが、拓実の隣が、こんなにも安心するものだったなんて知らなかった。
『…ねぇ、私後悔してる』
「後悔？」
『拓実と、別れたこと』
あの時は拓実が傍にいることが当たり前で、何も気付けなかった。
『他の人と付き合ってプロポーズなんかもされたけど、いっつもどこかに拓実がいて、頭から離れなくてさ。
拓実と離れたこの2年間、色々考えたけど私やっぱり』
一瞬で目の前が真っ暗になった。変わっていない香り。抱き締められたと理解するのに、そんなに時間はいらなかった。
「…それは俺から言わせて」
先程より強く抱き締められて、拓実の鼓動が伝わる。
「俺も、違う人と付き合ってみたけどダメやった。
でも、Aの連絡先消したし連絡手段なくて、もう会うことないやろな、って俺も後悔してた。」
同じこと考えてたんだ…
「でも今日会えて、運命やって思った。この機会逃したらそれこそもう会えへんって思って…
先輩に触られたくなかったのもあるけど！けど、気付いたら身体が勝手に動いてた」
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続
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作者名：すい | 作成日時：2020年4月28日 4時
