懐かしいキスをする 〈川西拓実〉 ページ38
※さよならまであと３秒 の続編です。
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「で、今回もダメだった訳だ？」
『んー…優しかったんだけどね。しっくり来なかった』
私の事を好いてくれる人はそれなりにいる。なんならプロポーズしてくれた人だっている。
でも、どの人も"将来"を考えると何も見えなかった。
「あんたさぁ、いつまで独り身続けるつもり？」
『私だって結婚は早くしたいよ？でも妥協はしたくないんだよね』
「はぁ…ある程度は妥協しないと、幸せになれないよ？年取れば取るほど、相手いなくなるよ？」
頭では充分理解しているんだけど。
でも、いつも彼氏に何か言われたりされる度に、
"拓実ならこうしてくれたな"
って考えてしまうんだ。
私は未だに、過去の恋愛を引きずっている。
もう、２年も経ったのに。
す
───……
無理矢理連れてこられた合コン。
苦手なんだよなぁ、急いで恋愛しようと思ってないし。
テキトーに食べて飲んで、早く帰ろう。
「あ、きたきた！」
「お待たせ〜、ごめんね、こいつが言うこと聞かなくて」
待たせといて謝罪の言葉が軽いなぁ、なんて思いながら男性陣をチラッと横目で見る。
目に入ってきたのは、
『…え』
一瞬で分かる、ピンクの髪。
最後に会った日より、落ち着いた印象の彼。
嘘でしょ、なんで、どうして？しかもこんな場所で。
あまりにびっくりしすぎて固まっていると、彼…拓実も、こちらに気付いたようだ。
目を点にして私を見る。久々に見た、拓実の目。
全然、変わってない。
それからは一切周りの会話が入ってこなかった。
端と端に座っているから、拓実の表情はあまり確認できない。
…同じ空間にいるっていうだけで、妙に緊張してしまってお酒が進む。
身体が火照ってふわふわしてきたところで、隣にいた友達と斜め向かいにいた男性が席替えをした。
「Aちゃん、結構飲んでるよね。お酒好きなんだ？」
『そんなに…です』
「てかAちゃんめっちゃ可愛いよね。しかもお酒飲んで顔赤くしちゃって超可愛いね」
苦手なタイプ。アルコール臭すごいし、あんまり近寄らないで欲しい。
「ね、連絡先交換しない？それかもう二人で別のとこで飲む？」
『私、もう帰るので…』
「えー、待ってよ。そうだ！ホテル代出すしさ、ホテルで飲むっていうのも」
席を立とうとすると、肩を組んできた。嫌だ、気持ち悪い、触らないで…
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続
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作者名：すい | 作成日時：2020年4月28日 4時
