プライドなんて捨ててしまえ 〈大澤駿弥〉 ページ35
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『ひゃ〜、やっぱりORβITはかっこいいや！』
雑誌に写るイケメンたち。
目の保養です。
「えっやっぱり？かっこいいよね！ね！」
『うん、かっこいいもあるけど推しの優心が可愛くてたまらない〜！』
「ねえなんでなの！？お、れ、は！？」
『ごめん優心しか見てなかった』
「ちょっと！彼氏を見なさいよ！」
横に座って俺は！？俺は！？とうるさいこいつは、彼氏である大澤駿弥。
もちろん彼氏フィルターを通すと一番かっこいい。けど、かっこいいって言ったら調子に乗ってうるさくなりそうだから言いません。
『ねぇまた今度優心に会わせてね』
「優心に会うとデレデレするじゃん〜やだ〜」
『仕方ないじゃん推しなんだもん』
「なんで俺が推しじゃないの？」
『彼氏＝推しじゃないでしょ。優心の可愛さは世界を救うよ』
「あの人ブラックだよ？ブラックマンネだよ？」
『そんなとこも好き』
再度雑誌へと目を戻すと、その雑誌は駿弥の手によって取り上げられた。
『ちょっと返してよ』
「終わり！返さない！怒りました！」
『えーちょっと駿弥さーん？』
それからは何を言っても何をしてもダメ。
ずーっと黙ってむすっとしながらテレビを見る駿弥。
…はぁ、仕方ない。機嫌を取り戻すためにはこれしかない。
ソファに座る駿弥の後ろに回り、首に手を回した。
肩が少しビクッと跳ねるが、相変わらず続く沈黙。
『ごめんね？』
「……」
『私が好きなのは駿弥だけだよ。』
「……」
『駿弥くん、機嫌なおして？』
首と頬にキスしても、動じない。
首に回していた手を離してまた隣に座る。じっとテレビを見る駿弥の頬をつかみ、無理やり私の方へ向かせた。
もういい、プライドなんて捨ててしまえ！
『…私が世界で一番"かっこいい"と思ってるのは駿弥だけだよ』
触れるだけのキスをして離れようとした…が、駿弥の手が私の後頭部をおさえたことで離れられなくなってしまう。
優しくて甘くて、でも独占欲を感じるキスに酔いそうになる。
「…あんまり妬かせないでよね！」
『……ほんと、反則だわ…』
「えっ何が！？」
プライドなんて捨ててしまえ
いつもはあんなにうるさいのに、
急に男の顔になるからどきっとしちゃいました
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作者名：すい | 作成日時：2020年4月28日 4時
