続 ページ28
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機械音が鳴り続ける。 なかなか出ないから切ろうとしたその時、電話の向こうから聞こえた低めの声。
「なに」
たった二文字なのに、不機嫌さが分かる。
浮気相手との時間を邪魔されたから迷惑ですか？
『いや、少しだけ話があって』
「明日じゃダメなの？」
『すぐ終わるから』
そう言うと待って。と言って、誰かに「ちょっとごめん」と言っている文哉の声が微かに聞こえた。
傍に浮気相手がいたんだろう。
少し時間が経つと、で、何？と声が聞こえる。
『わざわざごめんね』
「用件、なに？」
『あの、さ』
話そうとすると目の奥がつんと痛んだ。駄目だ、泣いちゃ駄目だ…。
文哉が優しかった頃の思い出が蘇ってくるけど、もう決めたんだ。
『私じゃ、文哉を幸せにできないなって』
「え？」
『文哉にお似合いなのは私じゃない。今の文哉に私は必要ないよね』
「……何言ってんの」
『文哉、別れよう？私疲れちゃった…。文哉ももう疲れたでしょ？』
「何でそういう話が出てくるのか分かんないんだけど」
『もう隠さなくていいよ。文哉が浮気してるの知ってる。』
「いや、」
『すっごく美人さんだもんね、私なんかより文哉にお似合いだと思う…』
２人はお似合いだから、私の入る隙なんてもうない。
文哉には、幸せになってほしい。
『もういいから、分かってるから、さよならしよ？』
「…A待って」
『文哉の傍にいられてすごく幸せだった。今まで大切にしてくれてありがとう』
『いや待ってって』
私は文哉の言うことを聞かず、さようなら。そう言って電話を切った。
これ以上話したら涙が流れてしまうから。
『…ばいばい』
私は荷物をまとめ、文哉の家を出た。
私じゃあなたを、癒せない
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こんにちは、こんばんは。作者です。
じわじわとお気に入りの数が増えてきていて、とってもうれしいです。ありがとうございます。
これからもマイペースかつ自己満な投稿をしますが、よろしくお願いします。
そろそろ長編を書きたくなってきました。
ストーリーは決めているのですが、まだ主人公を誰にしようか決めていないので、決まり次第書き始めると思います…
よければご覧頂けるとうれしいです。
どうでもいいのですが、最近胸きゅんとは？？？？？ってなってます。
失礼致しました。
すい
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余裕なんて 〈河野純喜〉→←私じゃあなたを、癒せない 〈佐野文哉〉
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作者名：すい | 作成日時：2020年4月28日 4時
