COLORS (ページ33)

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東雲 2 ページ33

side Black

長い長い片想い。
決して実らせてはいけないと思っていた片想いを、成就させてしまった。

もう終わりにするんだって覚悟を決めたあの日、ジェシーへの想いがあふれ、どうにもできなくなった。

論理的に考えて付き合えないってずっと思っていたのに……。
自分の感情に負けたんだ。

これで良かったのか、自信はない。

この先、ジェシーを縛りつけてしまわないだろうか。
窮屈な思いをさせてしまわないだろうか。
彼の輝きを、閉じ込めてしまわないだろうか。

あの日のことを後悔しているわけではない。

けれども自分の中に迷いがある以上、ジェシーにどんな態度をとればいいのかわからなかった。
何度かあったジェシーからのお誘いも、理由をつけて断ってしまった。

ピンポーンと、インターフォンが鳴る。
「……ジェシー」
なんで？
突然のことに驚きながら解錠する。

彼がエントランスから自宅の階へ上がって玄関に来るまでの間に、ささっと片付ける。

どうしよう。
付き合い始めてから素っ気なくしてしまっていたこと、怒ってるかな。
問いただされたらなんて説明しよう。
とりあえず取り繕って誤魔化すべき？

とにかく、嫌われたくない。
俺の頭の中ではそれが最優先だった。

「ごめんね、急に来て」
「ううん。どうした？」
「北斗に会いたくて」

そう言って微笑むジェシーに抱きしめられる。
あったかい。おちつく。すき。すき。すき。

ああ、だめだめだめ。感情に流されたらだめ。

でも。俺も会いたかった。触れたかった。

「北斗？泣いてるの？」
「え。あれ……」
「どうして？」
「ちがっ……ごめんなんでもない」
「逃がさないよ」

慌ててジェシーから離れて背を向けようとすると、捕らえられた。
真顔のジェシーにちょっとたじろぐ。