COLORS (ページ28)

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新緑が映える青空が広がる。
移動中の車窓からぼーっと眺める。

世間では新年度が始まり、俺たちの周りでも多少のスタッフの人事異動があった。
そんな時期になって数週間が経った。

あのあと。北斗と気まずくなったらやだな、と思ったが彼は普通に接してくれた。
良かった、と心からの安堵。

みんなにももうバレてしまっているから自分たちの気持ちを隠す必要もなくて、そういう意味では互いにとっても気楽だった。

目が合えば嬉しそうににこっと微笑んでくれる。
俺がふざければ膝から崩れ落ちて笑ってくれる。
仮眠するときにはわざわざ俺のところへ来てくっついて寝る。
心を許して甘えてくれるのがかわいくてたまらない。

慎太郎に、ふってふられた間柄なのにサムな関係みたいで変だよって言われたけどさ。
慎太郎が見た韓国のドラマでは、俺らのようなのをサムって言うらしい。
友達以上恋人未満みたいな感じ？
英語で使う言い方じゃないからよくわかんないけど。

俺は北斗のsomeoneになりたい。
正式にお付き合いをしたい。

やっぱり諦められなくて。諦めたくなくて。
なんとか出来ないか、ずっと考えていた。

仕事を終え、マネージャーの車から降りる。
今夜は６人でご飯を食べる約束だ。
仕事がだいぶ押してしまって、先に初めててって言ってあった。

いつもの店員さんにぺこっとお辞儀をして来慣れている個室へ向かう。

あれ、部屋の前に北斗がいる。
今来たのかな。

声をかけようとし、様子がおかしいことに気付く。

「ジェシーがかわいそうだよ」
慎太郎の不機嫌そうな声が個室から聞こえる。

「３人ともなんとも思わないの？」
「北斗には北斗の考えがあるんじゃない？」
「俺らがどうこう言うことじゃないだろ」
「別にグループの空気が悪くなってるわけでもないしさ。見守ろうよ」

不満そうな慎太郎と、それをなだめるような髙地、樹、大我の声。

ああ、みんなに心配かけてしまっているんだな。
でも北斗には聞かせたくなかった。
硬直してしまってる、無表情で。

俺は北斗の手を引いて、店の外へ連れ出した。

タクシーを拾い、二の足を踏む北斗を促し乗せた。そして自分も乗り込む。

運転手に行き先を告げると、北斗がえっ、とこっちを見る。

「何もしないから。ちょっと話しよ？」
安心させるように、手を握って微笑む。
北斗はうん、とうなずいた。