COLORS (ページ26)

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えーと。どういうこと？
あの２人の感じだと、俺は期待してもいいってこと？
北斗は彼らが出て行ったドアを見つめたまま。

「ねえ、北斗？」
呼びかけてもこっちを向いてくれない。
側まで近寄り、顔を覗き込む。
北斗が後ずさる。

「ジェシー、あの２人に何か言われた？」
「いや……なんかよくわかんない。けど、北斗に確かめたいことがあるよ」

北斗が潤んだ目でこっちを見る。

「付き合ってる人がいるって言ったの、嘘？」
「……うん。ごめん」
「好きな人がいるって言ったのは本当？」

黙ったまま俺から目をそらす。
ドキドキしながら続ける。

「俺、北斗が好きだよ。北斗も同じ気持ちでいてくれるんじゃないかって感じてたんだけど、違う？」

北斗が深く呼吸をし、悲しそうな目でこっちを見た。
「違う」
「ほんとに違う？」
「俺の好きと、ジェシーの好きは違う」

どういう意味だろう。

「それは、北斗は恋愛としてではないってこと？」
「そうじゃなくて。恋愛の種類が違うって意味」

ますますわからない。

「俺は。俺の好きは、狭いんだよ。ジェシーと付き合ったら仕事とジェシー以外はなにも必要じゃなくなる」
声を震わせながら、北斗が言う。

「ジェシーにもそれを求めてしまう。でも、そんなの絶対無理だから。だから付き合えないし、気持ちを知られなくなかった……」
「俺だって付き合ったら仕事と北斗が1番になるよ？」
「2番以降も大切でしょ、ジェシーは。友達とか、大切な人がたくさんいるでしょ？」
「うん」
「俺はそうじゃない。ジェシーしか大切じゃなくなる」
「……北斗が友達より優先してほしいならそうするよ」

俺がそう言うと、北斗が語気を強めた。

「絶対やめて！ジェシーはジェシーのままでいて。俺のために友達をないがしろにするのは違う」
「じゃあ、どうすればいいの」
「無理なんだ。どうしようもないんだよ」

待って、なにか打開策があるはず。
だって、好きなのに。好きでいてくれてるのに。

すがるような気持ちで、北斗に確認。

「北斗は俺と付き合いたくない？」
「俺だけのものにならないなら最初から手に入れたくない」

そう言う北斗の目から涙があふれる。

「わかった、泣かないで。まだ撮影残ってるよ」
あわててティッシュを取りに行き、そっと拭いてあげる。

「メイク直してくる」
と北斗が楽屋を出て行った。