COLORS (ページ23)

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東雲ページ23

東雲(しののめ)：明け方の赤く染まった空

side Red

夢を見たんだ。
甘くてとても情熱的な、夢を。

汗だくで飛び起き、窓を開ける。
寝る前にかけたエアコンのタイマーはとうに切れていた。

夏至を過ぎたこの頃。
逆三日月が浮かぶ東の空。
じわりじわりと赤く染める様は、先ほど見た夢のよう。

キッチンへ行き、普段飲む常温の水ではなく冷水を火照った体に流し込む。
そしてそのまま顔を洗う。

とにかく頭と体を冷やしたかった。

寝室へ戻り、ボスッとベッドへ倒れ込む。
寝なきゃ。このままだと睡眠不足で仕事中に頭が働かなくなってしまう。

アラームをかけた時刻まで、浅い眠りと覚醒を何度も繰り返した。

その日からおよそ２ヶ月後。
俺は歌番組の収録中に、その夢の話をネタにした。

「北斗にマジ真剣に告白されてさ、俺」
「え？俺そんなこと言ってないよ！いつ？」
「夢の中で」

内容を端折ってテレビ向きにまとめて話す。

「はは、ジェシーの北斗を見る目が変わっちゃってんじゃん」
「そう、ありかなって思って。見る目変わっちゃいましたね」

それまで雑誌でもラジオでももちろんプライベートでも、誰にも言わずにいた。
正夢になったらどうしよう、と恐れていたからだ。
誰かに話してしまうと正夢になる、とどこかで聞いたことがあった。

そうでなくても、自然と北斗のことを目で追うようになってしまっていた。

今日はあくびが多いな、とか。
ご機嫌で元気な日だな、とか。
食べ物に気を使ってる時期なのかな、体重絞ってるのかな、とか。

次第に気付く。

北斗も俺をよく見ているってことに。
そして、その目がとても甘いってことに。

あれは正夢だったんじゃないか。
むしろそうであってほしい。

そう願うようになってしまった俺は、夢の話を公言しようと決めたんだ。