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「お前何で震えてんの」
「震えてねーよ、離せよ樹」
「何で泣いてんの」
「……花粉症だよ」
「お前さあっ…！」
苛立つ樹に体を反転させられ、向かい合う。
もうごまかせない。
俺の顔を見た樹が悲しい顔をする。
「北斗、俺のこと好き？」
「好きじゃない」
「そんなにボロボロ泣いて説得力ゼロだよ？」
「…っもう、俺に飽きたんだろ？ほっとけよ。俺帰るから」
「誰が飽きたなんて言った？好きだよ、ずっと」
樹が袖で俺の顔を拭う。
「北斗、ほんとのこと言えよ。俺のこと好きだろ？付き合おう？」
「無理だよ…」
「何で？」
「だって…！俺、重いし」
「知ってる」
「付き合ったらいつか別れるじゃん」
そんなの、耐えられない。
「いつ飽きられるかっておびえるの嫌だ、苦しいの嫌」
「苦しいのが嫌なのはわかる。さっき俺がメンバーに戻ろうって言ったのも、苦しくて辛くて耐えられなかったのが理由だから」
「樹…」
「それに、今の時点で一生別れないなんて無責任なことも俺は言えない。でも、北斗と一緒にいたいよ。重いとこもきっとかわいいだろうなって思うくらいに惚れてんだよ」
また涙をこぼしてる俺を見て、優しく笑う。
「で、お前は？」
「…好きだよ樹が」
「やっと言ってくれた」
そっと抱き寄せられる。
「確かに俺は飽き性だけどさ、北斗には飽きねえよ」
「何で？」
「そんだけ好きだってこと」
割れ物を扱うかのような、ふわりと触れるキス。
樹はいつだって俺に丁寧にさわる。
「このまま玄関でおそっていい？」
「いいわけあるか」
「んじゃ一緒に風呂入ろ」
「えっ…」
「っは、照れてんの？今更？」
「だって…恋人になったってことでしょ？今までとちょっと心構えが違うって言うか、頑張って割り切ろうとしてた鎧みたいなのを失うってことは心まで裸になるって言うか、」
「なーにブツブツ言ってんの、ほら行くぞー」
fin.
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作者名：りんご | 作成日時：2022年2月21日 9時
