COLORS (ページ20)

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その笑顔を見て二つの意味で安心した。
ひとつは仕事頑張れる、と北斗が言ったこと。

そしてもうひとつは。
「嫌われたわけじゃなさそうで良かったあ」

「ん？」
北斗が怪訝な顔で俺を見る。

「だって北斗ずっと素っ気ないし、楽屋とかで触ろうとするとびくついたり避けたりするし」
「ああ……まあ確かに」
「だから強引に付き合うって決めて嫌われちゃったかなって」
「だって、恥ずかしくて。それに楽屋なんて誰かが見てるかもしれないし」
耳まで真っ赤になった北斗が目線をそらす。

「え？そんなんで恥ずかしいとか言ってたら今までどうしてたわけ？彼女とか何人かいただろ」
「うーん、そのときはちゃんと本気で向き合ってたつもりだったけど、今思えば心から好きじゃなかったから平気だったのかもしれない。失礼な話だけど」
「……俺のことは心から好き？」

北斗がバッと顔を両手で覆って背中を向けた。
肯定だよな、その態度は。マジか。

俺が想像してたより何倍も好かれていたのかも。

「て言うか！逆になんでそんな余裕そうなのかわかんない」
突然北斗が怒りだした。背中を向けたまま。

「余裕なんて無いよ。嫌われたかもってずっと怖かったんだってば」
ほんとかな、とでも言いたそうに北斗がこっちをチラッと見る。

「でも、北斗が俺のことちゃんと好きってわかって安心したよ」
そう言って微笑みかける。
案の定また真っ赤になる北斗。
はは、おもしろい。

「もう！京本！反応見てからかってるでしょ！」
「俺も好きだよ、キスしていい？」
「うっ……だめ……ってこともないけどでも」
「なに？」
「そんなのいちいち聞かれたら恥ずかしい」
「聞かなかったらまたビクッてしたり避けたりするじゃん」
「しない、もうしないから」
「わかった、じゃあ今日はキスやめとくね」
そろそろ帰るわ、と立ち上がる。

え、帰るの？って言いたげな顔の北斗に不意打ちでキス。

「やっぱり余裕じゃん」
そう言ってすねる北斗は最高にかわいいよ。

fin.