COLORS (ページ14)

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「少し早いんだけどさ、誕生日プレゼント。北斗の誕生日の辺りは２人でゆっくりできそうになかったから、旅行中に渡そうと思ってさ」

じっと北斗が見つめる先には、右手の薬指にはめられたプラチナの指輪。
ちょっと太めのデザインの。

反応のない北斗になんだか不安になってきた、気に入らなかった？
「北斗……？」

ゆっくりと北斗が顔を上げた。
その表情を見てほっとする。
目が嬉しいってキラキラしてるもん。
「ありがと慎太郎、すっごく嬉しい……」

「これ、見て？へへっ、お揃い」
俺の右手を差し出す。

薬指には素材違いの同じデザインの指輪。
俺のはゴールド製。
これならあからさまなペアリングではないからプライベートでする分には問題ないだろう。

北斗の左手をつかんで言う。
「こっちの薬指は、予約ね。ずっと一緒にいような」

綺麗な目からいくつもの大粒の涙。
次から次へと、とめどなく。

愛しい俺の恋人は、とっても泣き虫。

次の日も朝から露天風呂を楽しみ、チェックアウトの時間ギリギリまでのんびりした。

宿を出たあとは、数ヶ所観光に立ち寄りつつ帰路についた。
天気も良くて最高の気分。
梅雨入り前に旅行できて本当に良かった。

頻繁に指輪をなでている北斗に気付いたときは、かわいすぎて抱きしめたくなった。
運転中だったから出来なかったけど。

ちょっと早めに帰宅し、夕飯はデリバリーにして、食べるとき以外は部屋にこもった。
俺は明日からまた連ドラの撮影で、台本を覚えなきゃいけない。
頑張らなきゃな。

そんなこんなで旅行中からずっと俺は浮かれてて、北斗の様子をちゃんと見られていなかったんだ。